Japanese high-end shoes go to Europe,,,Skomaker Dagestad by Santari(日本製高級靴が欧州へ……スコマーケー・ダゲスタッド特注サンタリ)
CATEGORY靴・服飾

北欧を代表する高級靴店、Skomaker Dagestad(スコマーケー・ダゲスタッド)のスタッフ、Stefan Ravnanger(ステファン・ラヴナンゲル)さんが久々に来日。今回は複数の都市を巡ったそうで、11月12日には山形の宮城興業を訪問。そして13日には上京し、Tate Shoes(タテ・シューズ)を訪問しておりました。
上画像左が、タテ・シューズ代表の舘篤史さん。右がステファン・ラヴナンゲルさんです。ステファンさんによると、ダゲスタッドでは海外通販も行なっているため、日本から注文もあるそうです(笑)。
ステファンさんのご活躍により、以前から日本製品も取り扱うダゲスタッドですが、現在は宮城興業に、このタテシューズオリジナルブランドのSANTARI(サンタリ)、アディクト・クローズなど、さらに増えています。
特にサンタリについては、ダゲスタッド特注モデルと言うのが注目すべき点でして、同店では、Skomaker Dagestad by Santari(スコマーケー・ダゲスタッド・バイ・サンタリ)の名で販売されております。
以前にダゲスタッドではサン・クリスピンを取り扱っており、そのサン・クリスピン同様に、靴好きが楽しめるよう、オーダーやMTOに柔軟に対応してくれ、それでいてサン・クリスピンと同じくらいの価格で、もっと綺麗で丁寧な作りのメイカーを、ステファンさんは探しておりました。そこでステファンさんはタテ・シューズに興味を持ち、この特注モデル誕生となりました。

サンタリは出し縫い以外はハンドメイドの、いわゆる"九分仕立て"と、手間がかかっておりますが、ダゲスタッド特注サンタリはさらに手間をかけており、踏まず部分の出し縫いも手縫いしている、"九分半仕立て"です!
ウェルトを内部に巻き込んでいるうえ、踏まず部分を手縫いする事で、出し縫いを奥深い位置に入れられるため、よりシェイプが利いた、グラマラスなフォルムとなっております。

しかも、フィドルバックです。
「クォリティはサン・クリスピンを超えていると思うし、品質も安定しています。本当にビスポークのような見た目だし、作りはビスポークとほぼ同じと言えると思います。靴オタクのように細かく気にしなければ(笑)」
ダゲスタッド特注サンタリの出来栄えを述べるステファンさん。品質も安定しているのは日本人らしさでしょうか。または、タテ・シューズが少数で製作しているゆえかもしれません。

サンタリの代表的モデル、サイドエラスティックも扱われております。

もちろん、こちらもフィドルバックです。


ステファンさんの希望に沿ってデザインされた、ダゲスタッド特注サンタリのラスト。



「シャープなロングノースの綺麗な作りはどこでもあるけど、サンタリのように落ち着いた感じのエレガントはなかなか見つかりません。特に、北欧では8-12のサイズが多いため、ロングノースがすごくダサく見えると思います」
ラストについて述べるステファンさん。つまり、トウには程良いヴォリュームを持たせ、ロングノーズすぎない中庸なフォルムが、ダゲスタッド特注サンタリです。なお、踵の設計については通常モデルと同じだそうです。

ちなみにこちらはサンタリの通常モデル。ダゲスタッド特注モデルと比べて、やはりフォルムが異なりますね。
タテ・シューズの技術と、ステファンさんのこだわり、双方が詰まったダゲスタッド特注サンタリ。この特注仕様はダゲスタッド以外から注文があっても、舘さんは受けないそうで、まさにダゲスタッドのためのスペシャルモデルです!
価格は13,300クローネ(現在のレートで約158,500円)~。ノルウェーの消費税分を抜くと、10,640クローネ(現在のレートで約127,000円)~。さらに、通常のサンタリと同様、ダゲスタッド特注サンタリも、アップチャージなしでMTOを受け付けております。
「この値段で、エドワード・グリーンやサン・クリスピンを超えるクォリティはあり得ないと思います」
ステファンさんはサンタリのクォリティのみならず、コストパフォーマンスの良さも強調しておりました。
なお、ダイナイトソールのチャッカブーツは九分仕立てのため(つまり、九分半ではない)、11.900クローネ~(税込)です。もっとも、九分仕立てとは言え、木製シャンクとインソールのリブを工夫して、踏まずを少し攻め込めるようにし、ドレッシーに仕上げているそうです。
これまで、欧州の高級靴店で販売されているのは、欧米ブランドばかりでした。
当たり前ですよね。欧米が本場だし、欧州ブランドの方が輸送費なども安く済みます。
しかし、このサンタリに宮城興業など、日本製高級靴が欧州の高級靴店で扱われるようになったこの事実!
欧州の高級靴店が、自店のスペシャルモデルを、欧州の工場ではなく、Tate Shoes(タテ・シューズ)と言う、日本の小規模工房に製造依頼しているこの事実!
時代が変わったと思わずにいられません……。
ちなみにアメリカでしたら、過去にニューヨークのVINCENT&EDGAR(ヴィンセント&エドガー)にて、宮城興業のパターン・オーダーシューズが取り扱われていた事がありましたね。
現在、日本製ジーンズが世界的に評価が高いように、日本製高級靴も、これからどんどん世界で認められれば良いなと思っております。実際、ダゲスタッドがあるノルウェーはEU外なので無関係の話ですが、今年2月からEUで販売される日本製靴の関税が完全撤廃されているそうなので、日本製高級靴を海外に広められる時代がやって来たと思っております。
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