Peron & Peron in Bologna(ボローニャのペロン・エ・ペロン)
CATEGORY靴・服飾

【Peron & Peron(ペロン・エ・ペロン)】
住所:14, Piazza S. Francesco - 40122 Bologna
価格:ビスポーク・シューズ、マッケイ製法で1,000ユーロ~、ハンドソーン・ウェルテッド製法で1,700ユーロ~。レディースはマッケイ製法が基本仕様で700ユーロ~。コードヴァン使用の場合は700ユーロ増。
3-3ヶ月半で完成。通常、注文から2-3週間後に仮縫いですが、要望があれば5日後には可能。ハンドでのボロネーゼ製法の靴も作っております。英語可。

創業者であるブルーノ・ペロン(Bruno Peron)さんと、73年生まれで息子さんのシモーネ(Simone)さん。お二人ともに職人さんです。

店舗奥にある工房の様子です。

二つあるラスト保管室の一室でして、合計6,200足分あるとの事です。

ラストはResina(レジナ、イタリア語)と言う樹脂製で、割れにくい強靭な素材だそうです。

製甲にはポリエステルやナイロンと言った化繊糸が用いられるのが普通ですが、なんとこのお店では、「天然素材の方が仕上がりが美しいから」と言う理由でコットン100%の糸を使用するそうです。
なお、製甲師の康澤民さんは、以前にフィレンツェにて(つまりペロン・エ・ペロンではない)、コットンをナイロンでくるんである糸で製甲をされたそうで、その糸だと、「若干艶が控えめで、ミシン目がふっくらと見えます」とお話されていました。

堆く積まれたアッパー革はデュプイです。

シャンクにはメタルと革を合わせて使用です。フィラーはコルクです。

上画像はインソールに用いられるフランスの革で、レンデンバッハよりも柔らかく、なおかつ丈夫との事でした。アウトソールにはレンデンバッハを使用です。

インソールのくせ付けにはプレスマシン(画像左奥)を使用。プレスマシンの隣にあるポリッシングマシンは、ソールを磨く時のみに使用。そして手前にあるのはグラインダー(サンディングマシン)ですね。

掬い縫いに使用する、耐久性のある太めのキャンヴァス糸。そして出し縫いには、ノルマン・ヴィラルタさんと同様に、なんと日本の橋印の麻糸を使用しておりました。「イタリア製の麻糸より丈夫だからね」との事でして、フィレンツェ在住の日本人靴職人さんに買って来てもらっているそうです。

ペロン・エ・ペロンではマッケイ製法も手がけており、そのサンプルシューズです。

こちらも同じくマッケイ製法で、ウェルトがないマッケイ製法の構造を活かし、コバをなくして華奢に仕上げております。こう言ったマッケイ製法による華奢なスタイルのローファーは、既製靴の分野でもイタリア製の得意分野ですね。

そして、マッケイ製法の出し縫いも手縫いで行われ、黄矢印のように針をキャンヴァス糸に刺し、そして針を靴内部から外に出して縫っていきます。この手法をcarrozza(カロッツァ)と呼ぶそうで、イタリア語で馬車の意味ですね。なお、マッケイ製法の出し縫いも、ウェルテッド製法の出し縫いと同じく、手縫いならば一本の糸で縫うそうです。

ウェルテッド製法の出し縫いは靴の外側にあるコバに入りますが、マッケイ製法の出し縫いは黄矢印のように靴内部に入ります。この内部にまで縫うのが面倒なため、ハンドメイドシューズの場合でも、マッケイ製法の出し縫いに限っては機械で行うお店も多いですが、イタリアでは、マッケイ製法の出し縫いも手縫いするのは珍しくありません。

これも一見マッケイ製法ですが、実はハンドソーン・ウェルテッド製法。出し縫いを深い位置に入れる事でコバをなくし、華奢に仕上げた手間をかけたモデルです!

このショートブーツの接ぎの部分は、全て縫い目を隠すレベルソ仕立てで、スッキリ見せる仕上がりですね。

このブーツのアウトソールは中央にラバーを埋め込んで、レザーソールならではスッキリした見た目とラバーのグリップ力を両立させた仕様です。

そして、靴の後半部にだけノルヴェジェーゼスティッチが入った変則モデル。こう言った装飾性ある技巧は、ペロン・エ・ペロンらしさです。シームレスヒールなのもイタリアらしいですね。

ボタンアップブーツを作る場合、ボタンホールのかがりやボタン付けももちろん手縫いです。そして、ボタン付けが鳥足となっているのもイタリアらしいです。

コードヴァン使用のサンプルで、コードヴァンはホーウィンしか使用しないそうです。そして、このサンプルシューズ、羽根の形状が変則的で、なおかつその羽根の四辺とウィングの先端だけをダブルスティッチにしており、その箇所だけスティッチラインが際立ちます。こう言った遊び心、ペロン・エ・ペロンらしいです。

シンプルな外羽根プレーントウも、アッパーの色むらあるペイントに鋭角的なトウライン、そして羽根から履き口に至るまでのダブルステッチで、目立つ仕上がりとなっております。

トリプルウェルトのハント・ダービー!迫力あります!

6アイレットのサンプル。これらもパターンの切り替えしやトウラインなど、どこかで変則的な個所が見られますね。

こちらもビスポークのサンプルです。

レディースのサンプルも多いです。レディースは柔らかさを重視して基本的にマッケイ製法で、もちろん上述のとおり、マッケイ縫いも手縫いです。

ペロン・エ・ペロン自慢の愛玩犬、ラッキー君です(笑)。

店舗の外観です。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年5月25日時点のものです。
※16年12月23日17時5分、記事を一部加筆修正しました。
※16年12月25日3時5分、記事を一部修正しました。
- 関連記事
-
-
復活ロシアン・カーフのサンプル送付 2015/10/08
-
無印良品の5thダイヤアーガイル・ソックス 2008/11/07
-
コンヴァースのオール・スターを愛用するマンガキャラ Part3 2007/12/28
-
Boutique BIGARRE and WAHLMAN in Helsinki(ヘルシンキのブティック・ビガレとヴァールマン) 2015/12/18
-
もうすぐクリスマスなので 2008/12/12
-
Breanish Tweed and Lewis Loop Center in Isle of Lewis(ルイス島のブレニッシュ・ツイードとルイス・ループ・センター) 2016/02/29
-