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Hisashi Sasaki in Milano(ミラノの佐佐木弥史)

佐佐木弥史さんの店舗

【Sartoria H.Sasaki(サルトリア・アッカ・ササキ)】
住所:Via S.Paolo 13, 20121 Milano
価格:ビスポーク・スーツ、3,500ユーロ~。

仮縫い2回、2カ月で完成。年に二回来日し、東京、大阪、名古屋、松山、さらにロンドンとマドリードでも注文を取っておられます。


佐佐木弥史さん

店主の佐佐木弥史(Hisashi Sasaki)さんは82年生まれ。04年に関西外国語大学を卒業後、渡伊し、まずは10カ月ほどヴェネツィアに滞在。翌05年にミラノのファッションデザイン学校に入学し、2年通うものの、その際にデザインよりも物作りがしたいと言う思いから、パターンの学校に移り、1年学んで卒業。そして07年、ヴァドルッチョ・ヴィットーリオさんのお店に入社し、サルト修行を開始しました。13年からはヴァドルッチョさんのお店の共同経営者となり、14年には、ミラノテーラー協会・オモボーノ神の祭典で金賞を受賞。そして16年2月に、独立開業されました。


サンプルスーツ

佐佐木さんのビスポーク・スーツのサンプルで、全体的に柔らかなラインは師匠のヴァドルッチョさん譲りですね。そして、ヴァドルッチョさんと同様に、佐佐木さんは基本的にジャケットに細腹は取りません。

「お腹が出ている人を細く見せるために、細腹を取る時はあります。でも、基本的に細腹は取らないですね。細腹を取るのは、アイロンワークが少ない既製服のやり方です。ビスポークはしっかりアイロンワークで立体成型するのだから、(パターン上で接ぎを作って立体を出す)細腹は不要です」

佐佐木さんだけでなく、ミラノをはじめとするイタリアでは、細腹を取らないのを基本仕様としているサルトリアは多かったです(ただ、トリノのサルトリアでは細腹有もありました)。そして、他のイタリアのサルトリアでも、佐佐木さんと似たような事を僕は何度か言われました。「細腹を取るのはfabbrica(ファブリカ=工場、つまり既製服)だ」と。

無論、英国、フランス、日本など、他国のビスポーク・スーツでは細腹は当たり前に取るので、細腹を取らないのは、あくまでイタリアンテイラーリングの考え方です。とは言え、他国でもトーマス・マホンさんなど、一部で細腹を取らないのを標準としているビスポーク・テイラーはありました。


佐佐木弥史さんのラペル

ラペルのラインは青線のように少しカーブさせるのが佐佐木さんのスタイル。師匠のヴァドルッチョさんは、このカーブがもう少し大きめが好みだったそうです。そして、ゴージラインは黄線のように急角度で上げる、難しい技術です。



佐佐木弥史さんのビスポーク・スーツ

こちらも佐佐木さん製ビスポーク・スーツです。


佐佐木弥史さんの芯地

仕立てる手法もヴァルドッチョさん譲りです。芯地はもちろん自作で、台芯には深く切込みを入れ、これがグラマラスなラインを生み出します。台芯の上にはバス芯やフェルトが乗りますが、柔らかい着心地とするため、これらも薄い物を使用するそうです。


佐佐木弥史さんの芯地

切込みを繋ぎ合わせ、ハ刺しを入れて芯が完成されていきます。もちろんハ刺しは手縫いです。


佐佐木弥史さんの芯地

他のテイラーと同様に、胴体と比べてラペルのハ刺しは細かく打っており、これはラペルを波打たせず、しっかりラインを出すためとのご説明でした。


佐佐木弥史さんのジャケットの立体感

芯が取り付けられた前身頃は、ご覧のとおり膨らんで、立体感が出ていますね。


佐佐木弥史さんの肩の芯のスティッチ

佐佐木さん製ビスポーク・スーツ、肩の断面です。芯地を縫い合わせる際は固くならないよう、わざと緩く縫い合わせており、そのため、芯地の間に糸が見えます。


佐佐木弥史さんの肩の芯の内部

さらに、芯地ごとに肩の部分には切込みを入れて"遊び"を持たせます。この切込みはダーツではないため、縫い合わせる事もなく、切りっぱなしのままです。そして、それぞれの切込み位置をわざとずらす事により、その遊びの範囲を広くしています。この"遊び"を持たす切込みと、緩い縫い合わせのため、着用時に肩がジャケットと接触しても抵抗の少ない、柔らかな仕上がりとなるわけです。見えない部分にも、良い着心地のための工夫がされています!


※情報はいずれも、僕が訪問した2015年5月23日時点のものです。

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