Siniscalchi in Milano(ミラノのシニスカルキ)
CATEGORY靴・服飾

【Siniscalchi(シニスカルキ)】
住所:Viale Vittorio Veneto,32, 20124 Milano
価格:ビスポーク・シャツ、交換用の襟も付いて700ユーロ~。
仮縫い2回。旅行者ならば、午前中に採寸して、その日の午後に初回の仮縫い、その翌日に2回目の仮縫いが可能。英語可。

1948年創業で、二代目店主のAlessandro Siniscalchi(アレッサンドロ・シニスカルキ)さん。パターンは全て、このアレッサンドロ・シニスカルキさんご本人が作るそうです。

生地がバンチではなく、反物でのストックが非常に豊富なのに驚かされます!高級生地のカルロ・リーヴァも充実です。生地はイタリア製が多いですが、スイスのアルモやフランスのシモノ・ゴダールもあります。

シャツ製作はもちろんの事、使用するコットンと麻生地の織りや仕上げもイタリア製と言う、シニスカルキさんが取得した証明書。
「中国製だと、生産コントロールが不十分だからね」
イタリア製である事のこだわりが伺えます!なお、生地原料については、エジプトコットンなどの輸入です。

作成に用いられるパターン。

お客さんの体型が変化したため、ホチキスで紙を継ぎ足し、パターンを修正した後がありますね。お客それぞれに型紙を作り、その後の注文に備えて保存するのは、ビスポークならではです。

店舗奥にある工房です。

縫製は全てコットン糸使用です。「シルク糸だと柔らかすぎるし、麻糸だとスティッチが綺麗にならない」とのご説明でした。


ミシン縫いの箇所は多めながら、要所は手縫いです。

シニスカルキでは、フィニッシュのプレスにスティームアイロンは使いません。そして真水ではなく、澱粉(つまり天然糊)を溶いた水を用います。

澱粉を溶いた水をスポンジに含ませ、手作業で付け……。

そして、スティーム機能のないアイロンでプレスします。この方が仕上がりが良いとの事で、スティームアイロンを使うより手間はかかるものの、より良い出来のための一手間です。

仮縫い用のシャツです。袖付けは修正しやすいよう、あえて荒っぽく縫われております。

完成品のビスポーク・シャツです。襟やカフスの芯に、基本的に接着芯は使いませんが、お客の要望があれば使用可能との事。そして、身頃を平面に置くと、黄点線で囲った箇所がどうしても浮きます。つまり、それほど立体的に作られているのです。

袖付け部分の拡大。どんなシャツでも、平面に置いたら脇の部分は多少浮きますが、その浮く箇所が一般的なシャツよりも広く、大きく、その高い立体性、つまり着心地が良さが伺えます。

もちろん、シニスカルキでも袖は後付け仕様です。

手縫いによる袖付け。

黄点線で囲った、脇縫いの閂止めも手縫いです。

ボタンをかけやすくするため、「鳥足」型に縫うボタン付けは、イタリアの高級シャツでよく見られる仕様ですね。足は三本ありますが、一本につき二度縫うとの事で、このボタン付けやボタンホールも手縫いです。そして、ボタンは全てマザー・オブ・パールです。

シャツは元来、下着であるため、大昔は裾が股間まで覆われていました。そしてシニスカルキさんはご覧のとおり、その股間まで覆う、クラシックなタイプも作っております。

こちらもビスポーク・シャツの完成品。

これも股間まで覆う、クラシック仕様です。

前面にフリルが付いたこのデザインを、シニスカルキさんは「ダルタニャンモデル」と呼んでいました。

シニスカルキのポスター。

お父様で、創業者であるVittorio(ヴィットーリオ)さんが写っていますね。

こちらはお母様で、やはり職人だったそうです。

ポスターにもある創業時に作られたシャツで、お父様であるヴィットーリオさんご自身の物との事。

襟が小さめなのは、「父親が小柄だったから」との事でした。

そしてやはり、このシャツも脇の部分が大分浮き、立体的に作られています。創業当時から、上質なシャツを作っていたと言う事ですね。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年5月18日時点のものです。
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