Les 2 Lutins, Guillaume Belmonte and Corthay in Paris(パリのレ・ドゥ・リュタン、ギョーム・ベルモンテとコルテ)
CATEGORY靴・服飾

【Les 2 Lutins(レ・ドゥ・リュタン)】
【Guillaume Belmonte(ギョーム・ベルモンテ)】
住所:14 rue Saint-Marc, 75002 Paris
価格:ビスポーク・シューズ、ハンドソーン・ウェルテッド製法で3,300ユーロ~、マッケイ製法は3,000ユーロ~。いずれもシュー・トゥリー込価格。
7ヶ月ほどで完成。マッケイ製法の場合、出し縫いはマシンです。12年に靴修理とパティーヌのお店としてスタートし、14年からビスポーク・シューズも開始しました。英語は少し可能です。

85年生で、ビスポーク・シューズ担当のGuillaume Belmonte(ギョーム・ベルモンテ)さん。コンパニオン出身で、そのコンパニオン時代は、ウォルター・ステイガーのアレクシーさんからも学び、J.M.ウエストンでも勤務歴があります。ビスポーク・シューズはご自身にとってのスタートプロジェクトで、いずれ既製靴も販売したいとお話されていました。

そして、過去にベルルッティ、オーベルシーのビスポーク責任者を歴任した、Didier Martinez(ディディエ・マルティネス)さん。ディディエさんは職人さんに靴作りを教えたり、仕事の助言をしたりと、お店の監督的立場です。

採寸時は、アーチの具合を立体的に見るために足型も採取します。こう言った足型採取を行うのは、フランスのビスポーク・シュー・メイカーでは珍しいですね。

そして仮縫い時は、他の多くのフランスのビスポーク・シュー・メイカーと同様にトライアルシューズを作りますが、なんとそのトライアル・シューズはハンドソーン・ウェルテッド製法!そして、このトライアルシューズを2カ月ほど履いてもらってフィットの具合を確認し、その後、本番の靴を作成します。
通常、トライアル・シューズと言えば大抵はセメント製法で、作りを簡略しておりますが、ベルモンテさんは本番と同じでないと、本当のフィット具合は分からないと、ハンドソーン・ウェルテッド製法で作るこだわりようです。実際、長時間履いて、初めて分かる問題点はよくありますし、靴の馴染み具合も、セメント製法ではハンドソーン・ウェルテッド製法と異なりますね。なお、このトライアルシューズは見習いの職人さんが作るそうです。
このトライアルシューズが完成するまで3ヶ月、試着期間が2カ月、それから2カ月後に本番の靴が完成し、合計7ヶ月かかります。

トライアルシューズのソール。実際、履き込んだ様子がありますね。しかも、ヒドゥン・チャネルソールとトライアルシューズとしてはかなり手間をかけております。

ビスポークのラストの素材はシデを使用。シデは堅牢で、形も作りやすいからと言うご説明でした。そして、5足以上と多数注文したお客はプラスティックラストになるそうです。

上画像はアッパーに用いられる、フランスのDegermann(デガーマン)と言うタンナーの革で、ヴェジタブルタンニン鞣しの、強靭で良質な革との事です。他には、アノネイやデュプイを使用です。

アウトソールやインソールには、ガラ&フィスを使用。フィラーはコルク、シャンクはレザーです。

ビスポーク・シューズのサンプルです。製甲は外注ですが、他の工程は全て自社工房製です。

このサンプルは、ベルモンテさんが一番お気に入りのデザインとの事。

サンプルはどれも細身ですが、かと言って細すぎない、クセのないラインですね。


お客さんが柔らかい靴を希望だったため、マッケイ製法で作ったビスポーク・シューズ。

店内の様子でして、この奥に工房があります。

現在も、靴修理とパティーヌも積極的に受け付けており、店内には修理された靴がたくさん並べられていました。

【Corthay(コルテ)】
住所:1 Rue Volney, 75002 Paris
価格:ビスポーク・シューズ、シュー・トゥリー込で5,300ユーロ~。MTOは1,250ユーロ~。
8-10ヶ月で完成。ビスポーク・シューズはもちろん、MTOも受け付けております。英語可。

ビスポーク・シューズのサンプルです。アッパー革はフレンチカーフ、アウトソールにはガラ&フィスを使用です。

こちらもビスポーク・シューズのサンプルです。

フランスのビスポーク・シュー・メイカーらしく、仮縫い時はやはりトライアルシューズを作ります。

ビスポーク用シュー・トゥリーも自社工房で作っておりました。オーベルシーやディミトリ・ゴメスさんも同様ですが、どうやらビスポーク用シュー・トゥリーを自社生産するのは、フランスでは珍しくないようです。シュー・トゥリーの素材は、軽量と言う理由でブナを使用。ラストはシデを使用です。いずれの素材も、このコルテ出身であるオーベルシーの塩田さんと同様ですね。

職人さんの作業中。

完成したばかりのビスポーク・シューズ。トウラインはコルテのスタイルそのものですね。そして、ピスポークのパティーヌは靴職人さん自ら行います。

ここからは既製やパターン・オーダーのサンプルになります。コルテのもっとも代表的な外羽根シューズと言う、Fantômas(ファントマス)。

Wilfrid(ウィルフリッド)のサンプル。

スリップォンの各種サンプル。

アクセントに羽根にだけ異素材を用いたサンプル。

前衛的なデザインとパティーヌが特徴的なコルテですが、ごくプレーンなデザイン、そしてスウェード素材ももちろんあります。

2アイレットダービーで、色とりどりのパティーヌサンプルを展示しておりました。シンプルなデザインゆえに、アッパーの色艶の違いが分かりやすいですね。

店舗の外観です。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年4月13~15日時点のものです。
16年9月16日0時35分、コルテの画像を一部削除し、テキストに少し追記しました。
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