Duret and Guilson in Paris(パリのデュレとギルソンヌ)
CATEGORY靴・服飾

【Duret(デュレ)】
住所:29, rue Duret, 75116 Paris
価格:ビスポーク・ベルト、カーフで390ユーロ~。ビスポーク財布、カーフで500~800ユーロほど、クロコダイルで1,500~2,500ユーロほど。
ベルトや財布は一カ月で完成。もっとも、価格や納期は素材や作り込みによって大分変動があるので、参考程度にお願い致します。既製品はなく、ビスポークのみの革小物と鞄メイカーです。英語可。

69年生まれ、創業者で職人のMickaël Benarroch(ミカエル・ベナホシュ)さん。元々はスイスの国境近いフランスの工房で働いていたのですが、「ハイクォリティにこだわった、クラシックな手法で作りたい」と言う思いから、独立開業されたそうです。

僕が伺った際、工房(上記住所とは違う場所)ではミカエルさんを含む、4名の職人さんが作業をされていました。以前には、日本人職人さんも働いていたそうです。
「フレンドリーな環境で作るのは、とても大事だ」
ミカエルさんがお話されるとおり、工房の職人さんたちは和気あいあいとお仕事をされていました。そして、上画像はベルトループの作成中です。
「スティッチにミシンは使わない。それが自分のオリジンだ」
工房にミシンはなく、製品は全て手縫いと、ミカエルさんの強いこだわりが伺えますね。スティッチが手縫いだと柔らかく仕上げやすくなるので、ベルトの柔軟性に好結果をもたらすのではと思いました。そして、縫い糸は馴染みが良いからと言う理由で、シルク糸かワックスを擦り込んだ麻糸を使用。「化繊糸だと強すぎる」との事でした。ライニング素材もカーフなどの天然素材のみを使用です。


縫製作業だけでなく、革を縫い合わせる前の下ごしらえや、仕上げもやはり手作業で丁寧に行われます。

ベルトや鞄などに使う金具は、全てフランスの宝石類専門の工房製です。なお、ビスポークベルトはウェブサイトからでも注文可能です。

手縫いにこだわるものの、工房にはグラインダーなどの機械はいくつかあり、上画像はその一つである漉き機。これを使う事により、極薄の革小物が製作可能です。

入力した数値どおりに漉いてくれ、紙のように薄くする事も可能です。

結果、表革とライニングを貼り合わせても、こんなに薄いです!

このパスポートホルダーも、もちろん手縫いです。薄いがゆえの柔らかさも、手縫いだとさらに活きるのではと思います。

工房地下にある革のストックルーム。カーフは全てアノネイやデュプイと言ったフランス製で、そしてカラーヴァリエイションの豊富さに驚かされます!デザインの自由度も広がりますね。

鮮やかな色も揃います。

パステルカラーもあります。一番右下にあるポニー革は起毛素材ながら、これも色が変えられております。ちなみに、別料金で革に濃淡をつけた、パティーヌ仕上げも可能です。

冒頭の住所にある、デュレのビスポーク及び靴修理とパティーヌを受け付けている店舗です。そして、以前はここが工房だったそうです。

ベルトのサンプルが展示されております。

左が靴修理担当の職人さんです。

そして、パティーヌ担当の職人さん。

地下には刻印を押す機械があり、ミカエルさんの作業中です。

made in France、そしてcousu mainとは手縫いの意味で、デュレの矜持ですね。

【Guilson(ギルソンヌ)】
住所:3 Rue Saint-Philippe du Roule, 75008 Paris
価格:ビスポーク・スーツ、4,000ユーロ~。
仮縫い2回、3-4週間で完成。カスタムメイドのベルトも受け付けています。2009年以来、フランスの無形文化遺産の目録の一つにも入っているテイラーです。僕が伺った際は、英語が可能な職人さんが一人いらっしゃいました。

フランスマスターテイラー労働組合連盟会長であり、世界マスターテイラーの提携会員である、店主のAndré Guillerme-Guilson(アンドレ・ギエーム・ギルソンヌ)さん。2005年にはテイラー研修協会を設立し、技術継承にも尽力されております。

ビスポーク・スーツのサンプルです。サンプルやご自身が着用されているスーツを見ると、ゴージが低いデザインが多く、実際、ギルソンヌさんは低いゴージがお好きだそうです。とは言え、もちろん、高いゴージの注文があれば、そのように作るとの事。そして、イタリアとフレンチの中間がハウススタイルとのお話でした。

このジャケットの生地はスキャバルで、金の糸を織り込んである豪奢仕様です。

ゴージだけでなく、ウエストのシェイプ位置も低めで、絞りも緩やかです。上品で、落ち着いた雰囲気が漂いますね。

フレンチスーツの代表的ディテイル、フィッシュマウスももちろん作って下さいます。


レディースのサンプルも華美すぎず、品の良いデザインですね。


店舗地下にある工房です。芯地はもちろん自作で、縫い糸はシルク糸とコットン糸の併用。ボタンホールはシルク糸で、ボタン付は麻糸を使用です。

僕が伺った際は、ギルソンヌさん以外に二名の職人さんが作業をされていました。

店舗の外観です。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年4月14・16日時点のものです。
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