Henry Poole and Kathryn Sargent in London(ロンドンのヘンリー・プールとキャサリン・サージェント)
CATEGORY靴・服飾

【Henry Poole(ヘンリー・プール)】
住所:15 Savile Row, London
価格:ビスポーク・スーツ、4,280£~。ビスポーク・シャツは250£~。いずれもVAT込価格。
ビスポーク・スーツは仮縫い3回で2カ月で完成。ビスポーク・シャツは仮縫いなしで1ヶ月で完成。なお、ビスポーク・シャツにミニマム・オーダーはなく、一着から注文可能です。ただ、シャツは採寸を行うのみで、製作は全て外注です。
使用生地は80%が英国製、20%がイタリア製。ボタンは昔はプラスティックを使っていた事もあったそうですが、現在はホーンボタンだそうです。
そして、年に2回来日してホテルオークラにてトランクショーを開いております。
僕が訪問時は日本人の方が二人勤務されており、そのうちのお一人にお店をご案内して頂きました。

「ファッションではなく、10年でも20年でも、いつでも着られるスーツ。だから、流行によってラペル幅も変えたりしない。大事なのはバランス、タイムレスでナチュラル、ノーマルが私たちのスタイルだ」
ハウススタイルについて、そう語って下さった7代目当主のSimon Cundey(サイモン・カンディ)社長。

チーフカッターのAlexander "Alex" Cooke(アレクサンダー・"アレックス"・クック)さん。現在、日本で展開されているヘンリー・プールの日本製パターン・オーダーも、このアレックスさんがパターンを作ったそうです。なお、16年7月17日現在、お店にカッターは5名おり、さらにアンダーカッター(アシスタント)が一人いるとの事でした。
ちなみにアレックスさん、僕はお店に二回訪問したのですが、二回とも帰り際に、「さようなら」と日本語で声をかけて下さいました♪

ナチュラルショルダーでウエストを絞ってのイングリッシュドレープ、フロントラインもごく普通のレギュラーカットと、上画像のサンプルが、最もヘンリー・プールらしいモデルとの事です。

こちらのサンプルも、やはり奇をてらわない、ごく普遍的なデザインですね。

地下にある工房です。もちろん芯地は自作で、台芯は英国製の物を7-8種類使い分けているそうです。縫い糸はシルクかコットン糸、ボタンホールはシルク糸、ボタン付はポリエステル糸を使用です。そして、ノリは使わずに縫製するとの事でした。

同じく工房の様子です。


そして店内では、ネクタイやカフリンクスなど、小物の取り扱いもあります。

【Kathryn Sargent(キャサリン・サージェント)】
住所:No.6 Brook Street 1st Floor, Mayfair, London
37 Savile Row, Mayfair, London
価格:ビスポーク・スーツ、4,200£~。'Crafted(クラフティッド)'と言う呼称のMTMスーツは1,300£~、ジャケットは1,000£~。いずれもVAT込価格。
ビスポーク・スーツは仮縫い3回、3カ月で完成。Crafted(クラフティッド)は仮縫い1回、8週間で完成。レディースも作っております。使用する生地のほとんどが英国製で、他はイタリア製です。英国製生地が主に使用する理由は、流行とは無縁で、色柄が普遍的なため長く着られる。そして仕上がりが良く、アイロンワークも利きやすいためとのお話でした。

元ギーヴス&ホークスで、12年に独立された、オーナー兼カッターのKathryn Sargent(キャサリン・サージェント)さん。09年にサヴィル・ロウの長い歴史において、初の女性ヘッドカッターとなり話題となった方です。やはりと言いますか、元ギーヴス&ホークスの久保田博さんや、ミッキー(アムリク)・チャガーさんもご存知でした☆。

ギーヴス&ホークス出身のキャサリンさんですが、ご自身のハウススタイルについては、「私はギーヴススタイルではなく、お客の個性を重視して作ります。自分にハウススタイルはありません」とのお話でした。確かにこのサンプルも、ギーヴス&ホークスでよく見られる軍服調のラインではなく、むしろ優しい雰囲気を感じます。

製作途中のサンプル。

MTMスーツである、'Crafted(クラフティッド)'のサンプル。ナチュラルショルダーでクセのないラインを描き、着回しやすそうなスタイルですね。もちろん、他にもサンプルはあります。クラフティッドは採寸はもちろんの事、サンプルスーツを着てフィッティングを行い、仮縫いでの調整後は1週間で完成、トータルでは8週間ほどで完成するそうです。

もちろん芯地は自作です。


巻きになっているこれらの素材を、職人さんが自らカットし、組み合わせて、芯地を作ります。日本のビスポーク・テイラーですと、芯地屋さんが作った芯地(出来芯)を職人さんが調整して使うのが一般的ですね。

こちらはちょっと面白い、Dashing Tweeds(ダッシング・ツイーズ)製の生地。なんと、光の反射効果があります。

ちょっと分かりにくいですが、フラッシュを焚いて撮影すると、上記のように光を反射します。夜道でも事故に遭いにくい生地と言ったところでしょうか。この生地からもお察し頂けるとおり、ダッシング・ツイーズは現代的なプロダクトを得意とするメイカーです。

そして、この生地にもカラーヴァリエイションがあります。

お店では、若手の職人さんがキャサリンさんの仕事を助けております。上画像はアシスタントカッターのAlistair Nimmo(アリスター・ニモ)さん。

デンマーク出身で、テイラーのアプレンティス(見習い)のTara Hansen(タラ・ハンセン)さん。僕がコペンハーゲンにも行って来たと話し、お会いしたコペンハーゲンのビスポーク・テイラーさんの写真を見せたら、「知ってる、知ってる」と話していました(笑)。

店内にある応接スペース。店舗のデザインはキャサリンさんとタネル・デザインとのコラボレーションで、さらに置かれている家具類やテーブルなども全て英国製のビスポーク品です。出店にあたり、キャサリンさんの並々ならぬこだわりと気合い、そしてアルティザンとしての気質を感じます!

キャサリンさんの店舗は上画像のようにビルの二階にあり、一階がルーディック(ルートヴィヒ)・ライターです。そして今年、さらにサヴィル・ロウにも出店しております。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年3月31日・4月2日時点のものです。
※16年7月22日19時半頃、キャサリンさんのMTMスーツの画像と説明を追加し、文章も少し修正しました。
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