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Nicholas Templeman in London(ロンドンのニコラス・テンプルマン)

CATEGORY靴・服飾
ニコラス・テンプルマンさん

【Nicholas Templeman(ニコラス・テンプルマン)】
住所:18 St. Paul Street, London
価格:ビスポーク・シューズ、シュー・トゥリー込で3,000£~、VAT別価格。VAT込価格は3,600£~。

4か月で完成。店舗はなく、ご自宅兼工房でお仕事をされています。フィラーには、他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと同じく、タールを含ませたフェルト使用。そして、底材や芯材、シャンクには、フランスのタンナーであるガラ&フィスを使用。ただし、レディースのハイヒールについては、強靭性を重視してメタルシャンクを使用しています。
アッパーは黒はワインハイマー、茶色はデュプイやアノネイと言ったフレンチカーフです。茶色のヴィンテージのカール・フロイデンベルクも少しお持ちだそうです。


ニコラス・テンプルマンさん

82年生で、ジョン・ロブにて7年、ラストメイカーとして勤務し、15年から独立した、Nicholas Templeman(ニコラス・テンプルマン)さん。最も得意なのはもちろんラストメイキングでして、独立した現在は全行程をご自身で行っています。

「ラストメイキング、君もやってみるかい?」

ニコラスさんはそう言って、僕にラストメイクをさせて下さいましたが、斧がラストに引っかかって全然削れませんでした(笑)。この斧を操る技術も、職人技なのだなと感じました。

なお、ジョン・ロブでは仮縫いはありませんが、ニコラスさんは仮縫いがあります。そして、ニコラスさんはジョン・ロブ時代、アメリカのトランクショー担当でもあり、独立した現在も、個人でアメリカにてトランクショーを行っております。


ニコラス・テンプルマンさんのラフターンからラストへ

ニコラスさんのラストメイク方法は、ラフターン(大まかに仕上がっている木型)からご自身で形を削り出す、ロンドンのビスポーク・シュー・メイカーでは一般的な方法です。上が完成されたラストで、下がそのラフターン。完成したラストは形状の曲線が複雑で、そして削り出しているため、ラフターンと比べてやや小さくなっているのがお分かり頂けると思います。


ニコラス・テンプルマンさんのラフターンからラストへ

別アングルから見ても、ラフターンからラストへ、形状が変化しているのが分かりますね。


ニコラス・テンプルマンさんのラフターンのトウ

トウをご覧頂いても分かるとおり、ラフターンはラストとして機能しない、未完成品です。


ニコラス・テンプルマンさん使用のラスプ

ラフターンから削り出す際、斧で削った後はヤスリで仕上げ、ニコラスさんは三種類を使い分けしています。もちろん、一連の作業に一切機械は使わず、手作業です。

ニコラス・テンプルマンさん使用のラスプの拡大

三種類のヤスリ、それぞれが目が異なっているのが分かりますね。


ニコラス・テンプルマンさん使用ミシン

ジョン・ロブではラストメイカーだったニコラスさんですが、現在は全作業をお一人で行っているため、製甲ミシンもお持ちです。


ニコラス・テンプルマンさん使用クリッキングデスク

パターンとクリッキング用デスクで、やはり革の状態が見極めやすいよう、太陽光が多く入る窓際に設置されていますね。


ニコラス・テンプルマンさん使用のコテ

底付けもご自身で行うため、コテも何種類もお持ちです。


ニコラス・テンプルマンさんの仮釣り

釣り込み途中のUチップ。トウのスキンスティッチがない、エドワード・グリーンのドーヴァーと言ったデザインで、やはり英国的ですね。


ニコラス・テンプルマンさんのキャップトウ

「100年前のトラッドスタイルがハウススタイル」と言うニコラスさん。その言葉どおり、奇をてらわない、普遍的かつ英国的なモデルが多いです。


ニコラス・テンプルマンさんのモンクストラップ

こちらはバックルが大きめの、ジョン・ロブ・パリのマッタと言った感じで、やはり普遍的なデザインとシェイプですね。


ニコラス・テンプルマンさんフルブローグ


ニコラス・テンプルマンさんのアダレイド・プレーントウ


ニコラス・テンプルマンさん使用のシューメイキングの本

辞書のように分厚いシューメイキングの本は、30年代、50年代と古い物で、ニコラスさんの研究熱心さが伺えますね。


ニコラス・テンプルマンさんの響

ちなみにニコラスさん、日本のウイスキーもお好きだそうです(笑)。


※情報はいずれも、僕が訪問した2015年3月31日時点のものです。
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