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George Cleverley in London(ロンドンのジョージ・クレヴァリー)

CATEGORY靴・服飾
ジョージ・クレヴァリーの店内

【George Cleverley(ジョージ・クレヴァリー)】
住所:13 The Royal Arcade, 28 Old Bond Street, London
価格:ビスポーク・シューズ、シュー・トゥリーとVAT込で2,950£~。VATを除くと、さらに安くなります。

6-9ヶ月で完成。インソール、アウトソール、シャンクにはベイカーを使用し、フィラーはフェルトを使用と、他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと同様の構造です。


ジョージ・クレヴァリーのテーム・レッパネンさん

フィンランド出身で、ラストメイカーであり工房長を務める、Teemu-Pekka Leppanen(テーム・ペッカ・レッパネン)さん。


ジョージ・クレヴァリーの職人さんたち

左が、パターン、製甲、クリッキング担当で、2006年に入社し、僕が訪問時は33歳のAdam Law(アダム・ロウ)さん。中央が創業者の一人で、ラストメイキングを主に務めるJohn Carnera(ジョン・カネーラ)さん。僕が伺った当時、カネーラさんは週に1・2日の勤務との事でした。そして右が、やはり創業者で、オーナーのGeorge Glasgow(ジョージ・グラスゴー)さん。
実質、僕は皆様と初対面だったのですが、非常に気さくで人当たりの良い方々でして、靴はもちろんの事、この親しみやすいお人柄と、他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと比べて安めの価格設定となれば、人気があるのも納得です。

そして、この頃は帰国していて不在だったのですが、日本人ボトムメイカーの岩崎陽平さんもお勤めです。グラスゴーさんによると、ロンドンのボトムメイカーさんは週に二足仕上げるのが通常のところ、岩崎さんは2日で一足仕上げられるハイペースだそうです!


ジョージ・クレヴァリーのラストルーム

約3,000足あると言うラストルーム。デイヴィッド・ベッカムやアレキサンダー・マックイーンと言った有名人のラストもありました。加藤和彦さんが顧客だった事でも知られ、「惜しい人を亡くした」とグラスゴーさんは呟いていました。

そして、グラスゴーさんによると、「クレヴァリー・スタイルは二つある」との事で、ラストを参考に、そのスタイルの違いをご説明頂きました……。


ジョージ・クレヴァリーのジョージラスト

こちらがジョージ・クレヴァリーのスタイルである、サスピシャス・スクエアトウ。サスピシャスは「疑わしい」の意味なので、つまり、「スクエアっぽいトウ」とか、「少しスクエアなトウ」と言ったところでしょうか。そして、「チゼルトウではない(not chisel)」とのご説明でして、つまり、つま先の傾斜に角はなく、直線的でもなく、緩やかに落ちます。この微妙にスクエアなラインが、玄妙な表情を生み出します。


ジョージ・クレヴァリーのアンソニーラスト

そしてこちらが、もう一つのクレヴァリーである、アンソニー・クレヴァリーのスタイル。非常に細身のスクエアトウで、かつチゼルトウ、つまりトウの面がフラットで、シャープな傾斜が特徴です。ラスト全体もシャープな印象で、このメリハリのあるラインが見栄えします。

なお、ご存知の方はご存知のとおり、アンソニー・クレヴァリーはジョージ・クレヴァリーの甥にあたる靴職人です。


ジョージ・クレヴァリーのジョージラストのトウ前面

ジョージ・クレヴァリースタイルのトウ拡大。


ジョージ・クレヴァリーのアンソニーラストのトウ前面

アンソニー・クレヴァリースタイルのトウ拡大。ジョージ・クレヴァリーも細身のスタイルですが、アンソニーはさらに細身ですね。


ジョージ・クレヴァリーのジョージラストのトウ

ジョージ・クレヴァリースタイルのトウを斜めから。アンソニー・クレヴァリーよりラインが穏やかで、柔和な印象を受けます。


ジョージ・クレヴァリーのアンソニーラストのトウ

アンソニー・クレヴァリースタイルのトウを斜めから。トウラインがフラットかつシャープで、ジョージ・クレヴァリーより目立ちやすいスタイルです。

なお、アンソニー・クレヴァリーについては、以前にウェブサイトでもご紹介しているので、そちらもご覧頂くと分かりやすいです。


ジョージ・クレヴァリーの工房

誰もいない状態での二階の工房。かつてはガジアーノ&ガーリングのトニー・ガジアーノさんも、ここでラストメイキングの修行をされていました。


ジョージ・クレヴァリーのティモ・レッパネンさん作業中

そして、皆様の作業の様子です。「我々は100年前と変わらぬ方法で作っている」とグラスゴーさんはお話されていて、やはり他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと同様に、極力機械を排す、古典的手法で作っております。


ジョージ・クレヴァリーのアダムさん作業中


ジョージ・クレヴァリーのカネーラさん作業中


ベン・ハントさん作業中

僕が伺った当時、製甲のアプレンティス(見習い)だったBen Hunt(ベン・ハント)さん。


ジョージ・クレヴァリーのサンプル

そしてビスポークサンプルです。やはりハウススタイルである、細身でスクエアトウのモデルが多いですが、一番左のクロコダイルのタッセル・ローファーのように、ラウンドトウも要望があればもちろん作ります。


ジョージ・クレヴァリーのサンプル


ジョージ・クレヴァリーのサンプル


ジョージ・クレヴァリーのサンプルスリッパ

既製のスリッパもあります。アッパー素材はヴェルヴェットです。


ジョージ・クレヴァリーの店舗

店舗兼工房の外観です。



※情報はいずれも、僕が訪問した2015年3月26日~4月2日時点のものです。
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