John Lobb in London(ロンドンのジョン・ロブ)
CATEGORY靴・服飾

【John Lobb(ジョン・ロブ)】
住所:9 St. James's Street, London
価格:ビスポーク・シューズ、3,748£~、ロシアンカーフは6,994£~(いずれもVAT抜価格)。シュートゥリーは726£。
仮縫いなし、フィットに問題がある場合は修正してくれます。6-8ヶ月で完成。

ラストメイカーとしてジョン・ロブの技術を継承する、創業者一族でオーナーのJonathan Lobb(ジョナサン・ロブ)さん。

工房をご案内して下さった、90年生まれで製甲職人のWilliam Powell(ウィリアム・パウエル)さん。以前はクロケット&ジョーンズで勤務されていたそうです。

ロンドンに数多くある老舗店も、モダンに改装するケースが増えている昨今ですが、ジョン・ロブは現在も旧き良き時代の雰囲気を残していますね。

サンプルのキャップトウ。ハウススタイルについて伺うと、「トラディショナル」とシンプルなお答え。お客の要望に合わせるのが第一で、そのうえでジョン・ロブらしさを出すとの事でした。

クロコダイルのサンプルです。

ロシアンカーフの取り扱いもあり、もちろん沈没船から引き上げたオリジナルです。

店内ではラストメイキングの様子が見られるようになっております。ジョン・ロブではラストメイカーさんが7名もおり、他店では一人か二人が普通なので、その規模の大きさが伺えます。ラストメイクについては、ラフターンから削り出すか、過去のお客で足型が近く、もう使わないであろうラストを流用して左足分だけ作り、右足分はラスト屋さんに依頼してコピー。そこからさらに、調整して作るそうです。

世界一著名なビスポーク・シュー・メイカーだけあって、分厚い顧客台帳が何冊もあります。

そして、地下が工房となっております。

底材用のレザーが立てかけられていました。底材のタンナーは、他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと同じくベイカーですが、ごく稀に、アウトソールにレンデンバッハを使うそうです。

シャンクもメンズは他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと同じくレザーですが、たまにメタルシャンクを用い、レディースも華奢な分、耐久性を要求されるためメタルシャンクを使用。そのメタルシャンクも、上画像の一番左はメンズ用、中央のやや細めの物はレディース用、そして一番右はレディースのハイヒール用と使い分けしています。
なお、フィラーはタールを染み込ませて防水加工をしているフェルトと、他のロンドンのビスポーク・シュー・メイカーと同じです。

Jonathan Lobb(ジョナサン・ロブ)さんと、弟さんであるNicholas Lobb(ニコラス・ロブ)さん。

コードウェイナーズ・カレッジ出身で、02年より正社員勤務されている、豊永映恵(アキエ)さん。僕が04年に伺った際はクリッカーでしたが、現在はパターンと製甲が主なお仕事で、クリッキングはたまにだそうです。そして、日本人客の通訳もされています。製甲は4年前から担当されていて、パターンはそれ以前から行っており、週に一度、ジョン・ロブに来るパタンナーの方から教わったそうです。
さすがに勤続10年以上の豊永さんはジョン・ロブ内に専用の仕事部屋があり、上画像はそこでの撮影です。04年にお会いした時よりも、自信と風格に満ちていたのが印象的でした。

09年よりジョン・ロブのボトムメイカーを務める、鈴木綾子さん。さらにもうお一人、リペア担当の日本人男性も工房内にいらっしゃいました。鈴木さんをはじめ、底付け職人さんについてはピースワーカーと呼ばれる、出来高制での勤務だそうです。


ボトムメイカーさんは他にも数名おり、もちろん、さらにアウトワーカーさんもいらっしゃいます。

パウエルさんの作業中。

地下工房奥にあるラストルーム。全部で13,000~17,000足もあるそうで、これだけあるならラストメイクの際、新規客の足型に近いラストも見つけられそうですね。

このラスト量だけでも、歴史の重さが感じられます。

ジョン・ロブではシューバッグも自社製で、ラストルームの奥で担当の女性職人さんが作っておられました。他社では外注が多いですね。

店舗の外観です。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年3月26日時点のものです。
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