Desmond Merrion in Leeds(リーズのデスモンド・メリオン)
CATEGORY靴・服飾

【Desmond Merrion(デスモンド・メリオン)】
住所:Pelican Works Wakefield Rd, Wood Ln, Rothwell, Leeds
価格:フルビスポーク・スーツ、2,600£~。セミビスポーク・スーツ、1,400£~。一切ミシンを使わない、完全手縫いのシュプリーム・ビスポークは30,000£~。胸のサイズが48インチ以上の場合は10%増。
フルビスポークもセミビスポークも仮縫い2回以上。フルビスポークは4-6週間で完成。生地は英国製が多いですが、カシミアなど一部はイタリア製。

店主のDesmond Merrion(デスモンド・メリオン)さんは全工程をお一人で行っております。メリオンさんのウェブサイトによると、お父様はミシンのエンジニアで、テイラーさんが使うミシンの修理やメンテナンスを行っており、最終的にはバートンのチーフ・エンジニアを務めたそうです。そしてお母様は、バートンの工場にて、手縫いの職人さんとして長年働いていたとの事。やがてお父様はバートンの社員さんとともに服飾工房を設立し、そこでメリオンさんも16歳からカッターとテイラーの修行をされました。現在ではメリオンさんは30年以上のキャリアを誇り、お客は英国内のみならず、スイス、オーストリア、ポルトガル、ロシア、オーストラリアなど海外からも多いとか。
失礼で恐縮ですが、メリオンさんご自身はお腹が出ている体型なのですが(冒頭画像参照)、ご覧のとおり、ご自身作成によるジャケットを着用するとそれが大分カヴァーされて、見事な体型補正と思いました。ちなみにこの日、メリオンさんが履かれていた靴はローク。普段はチャーチを着用との事。

作成途中のセミビスポークの芯地。既に立体感が出ていますね。

セミビスポークの芯地を身頃に取り付けた状態です。スティッチはマシンながら当然自作で、無論接着芯でもありません。そして、フルビスポークは芯地もハンドメイドになるとの事。フルビスポークはお台場仕上げですが、セミビスポークはそれを行わなかったりと、手間をかけなくても大きい違いはないであろうの手間を落としております。
とは言え、セミビスポークでもパターンは個別に起こし、もちろんデザインは自由。さらに外注もせず、メリオンさんご自身が作るそうです。名前はセミビスポークとは言え、他テイラーのセカンドラインとは一味違う、優れたシステムと思いました。

そのセミビスポークの仮縫い段階のジャケットですが、既に胸に立体感がありますね。

こちらはフルビスポークの芯地で、やはりハンドでハ刺しされています。

使用アイロンの一つは16パウンド(約7.2kg)と相当重く、スティームアイロンでもありません。水も自らたっぷりと付け、そしてこの重量と熱でアイロンワークするため、くせが取りやすいわけですね。そして、使うアイロンはこれだけでなく、用途ごとに使い分けています。

副資材などが置かれた棚。フルビスポークでもセミビスポークでも、本縫い、ボタンホール、ボタン付はシルク糸を使用し、ファスナーは金属製YKKを使用(安物の樹脂製ではない)と、さすがのこだわりが伺えます。芯地は6種を使い分けしているそうです。そして、プラスティックボタンは使わないとの事。

なんと、ライニング用に日本の着物用シルクもありました。

作成途中のスーツです。特にハウススタイルはなく、お客の要望に沿った物を作ると言うお話でした。フルビスポークだと、袖付や襟付、ライニングの取り付け、腰芯の取付などが手縫いです。フルビスポークでもミシンを用いる箇所はあり、そこも手縫いとなると、前述のシュプリーム・ビスポークとなるわけですね。ちなみにトラウザースについては、ブレイシーズがメリオンさんの好みだそうです。

レディースも作っておられます。

店頭には、こんなお茶目なスーツもディスプレイされていました。

店舗兼アトリエの外観です。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年3月18日時点のものです。
※2016年4月4日、セミビスポークの芯地画像を追加し、それに伴い、文章も修正しました。
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