BOČAK cipele, Zlatko, and TOMIĆ BOŠKO in Zagreb(ザグレブのボチャク靴店、ズラトコ靴店、トミッチ・ボシュコ)
CATEGORY靴・服飾

【BOČAK cipele(ボチャク靴店)】
住所:Ilica 53, Zagreb
価格:カスタムメイドシューズ、マッケイ製法で1,600クーナ~。セメント製法で800クーナ~。ショートブーツのマッケイ製法で2,000クーナ~。
仮縫いなし、1週間で完成。マッケイ製法を主に手がけるハンドメイド・シューズ店で、ブラックラピド製法も可、出し縫いはマシン縫いです。レディースのバレリーナシューズ(パンプスを指しているのかも?)のみセメント製法で製作。昔はアロイス・ストロガーさんもここで働いていたそうです。なお、cipele(ツィペレ)とは靴の意味です。英語可。

67年生まれで、ザグレブの靴職人組合組合長を務める、三代目店主のRenato Bočak(レナト・ボチャク)親方。お店は1933年にご祖父様が創業され、ザグレブで最も古い注文靴店だそうです。
なお、70年代まではこのお店でもウェルト製の靴を作っていたそうですが、人々が車に乗るようになって固い靴が好まれなくなり、80年代からは柔らかいマッケイ製法の製造となったとの事。

ボチャク親方が98年に取得された、靴職人マイスターの証書。

そして、03年には整形靴マイスターの資格も所得されています。

さらに12年には、ザグレブ大学繊維技術学部での靴デザインも修了しています。靴関連三つもの分野で修了されているとは、ボチャク親方の高い求道心が伺えます。

サンプルシューズです。日本大使館の方も顧客だそうです。

サイドウォールの立った、ハンガリーの靴に似たモデルもありますね。

そして、英国調のモデルもあります。


【Cipela ZLATKO(ズラトコ靴店)】
【BB-Shoes(ビービー・シューズ)】
住所:Ilica 21, Zagreb
価格:カスタムメイドシューズ、1,500クーナ~。
仮縫いなし、7-10日ほどで完成。ズラトコ靴店は店名で、BB-Shoesは輸出用の名前です。YouTubeの作成動画を見ると、1枚目のアウトソールは接着し、2枚目のアウトソールは出し縫いをかけて取り付ける方法で作っているようです。なお、釣り込みはハンドながら出し縫いはマシンで、スティッチはヒドゥン・チャネルにはせず、オープントラックです。サイトからオンラインショッピングも可能。英語可。

66年生まれで、二代目店主のBruno Budiselić(ブルーノ・ブディゼリッチ)さん。BB-Shoesの名前はご自身のイニシャルからきており、店名のZlatko(ズラトコ)は創業者であるお父様の名前で、息子さんのAntonio(アントニオ)さんもご勤務中です。
なお、ズラトコさんは1939年生まれなのですが、創業が1933年創業となっているのは、Marinkov(マリンコフ)さんのお店をズラトコさんが引き継いためだそうです。

そして、サンプルシューズです。


カラーヴァリイションが多いのが特徴ですね。

ベルトも作っていまして、他ブランドだとベルトループが一つだけのも多いですが、こちらは二つと、手間をかけていますね。価格は350クーナ。
なお、僕がご紹介したザグレブの靴店は、全てサグレブの目抜き通りであるIlica(イリツァ)通りにあります。この通りとその近辺には、僕がご紹介した以外にも複数のハンドメイド・シューズ店が並んでおり、その多さに驚きます。ハンドメイドシューズ靴店の集中度だけで言えば、このイリツァ通り周辺が世界一かもしれません。とは言え、25年前と比べて、ザグレブにいた靴職人は1/10ほどになってしまったと、ボチャク親方は話されていましたが……。
ザグレブのハンドメイド・シューズ靴店はウェルト製シューズは作ってないものの、価格はレディースだと800クーナ~(14,000円ほど)、メンズは1,500クーナ(26,000円ぐらい)~と、ハンドメイドシューズとしてはお手頃な価格で、かつ仮縫いもないので旅行者でも注文しやすくて良いと思いました。

【TOMIĆ BOŠKO(トミッチ・ボシュコ)】
住所:Masarykova ul. 15, Zagreb
価格:ミンクのコートで9,000クーナ~。フォックスのショートコートで10,000クーナ~、ロングコートで20,000クーナ~。ビスポーク・ハットは700クーナ~。
毛皮専門かつレディース専門のビスポーク・テイラーです。仮縫い1回、1ヶ月ほどで完成。ビスポーク・ハットは仮縫いなしで1週間で完成。英語可。

69年生まれ、93年に入社した、三代目当主のZoran Tomić(ゾラン・トミッチ)さん。1938年創業で、初代の方が95年にご逝去後は、よりファッショナブルに移行したとの事でした。そして、03年に先代であるお父様も引退されたそうです。

店舗二階に工房があります。トミッチさん以外にも職人さんはいらっしゃるものの、物が物なだけに夏季は暇になる事もあって、パートタイム勤務だそうです。

トミッチさんの作業の様子。ミシンと手縫いを併用しての製作だそうです。

もちろんビスポークなので、パターンも個別に起こします。

帽子のビスポーク用に、型もたくさん置かれていました。これ、結構重量があります。

作成時はこのようにロープで押し付けて、素材を密着させます。

そして、釘を打ってクセをつけるそうです。ハンドメイドシューズの釣り込みと似た作業で、釘跡が多数残っていますね。

作成途中のショートコート。

一階の店舗の様子です。工房同様に古めかしいですね。


幾重のバックスタイルがゴージャスですね。保温性も高まるのかと思います。

帽子も豊富に揃えております。

店舗の外観です。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年1月26日時点のものです。
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