Paul Parkman and Mahmut in İstanbul(イスタンブールのポール・パークマンとマフムト)
CATEGORY靴・服飾

【PAUL PARKMAN(ポール・パークマン)】
住所:3503 Jack Northrop Ave. Suite # O2586, CA 90250 Hawthorne, USA
価格:ウェブサイト参照。参考までに、マッケイ製法で425ドルほど。ハンドソーン・ウェルテッド製法やダブルソールだと、ある程度高くなります。
ウェブサイトにある住所はアメリカですが、実際の製作はイスタンブールで行われ、オンラインで受注販売をしているハンドメイド・シューメイカーです。注文から15日で完成。そしてなんと!日本への送料は無料です。英語可。
僕が伺った日は二日前に移転したばかりで社内が片付いておらず、残念ながら靴の実物が見られなかったのですが、マッケイ製法、ハンドソーン・ウェルテッド製法、オパンケ製法と様々なモデルがあり、なんと釣り込み、掬い縫い、出し縫い(ハンドソーン・ウェルテッド製法、マッケイ製法ともに)、全てハンドとの事。さらにアッパー革も全てハンドペイントで仕上げられ、それでいて、この価格は素晴らしいですね。

左が78年生まれ、靴職人で工房長を務める、Murat Erbaş(ムラト・エバシュ)さん。右が77年生まれでマネジメント担当のPolat Sendir(ポラト・センディシュ)さん。

エバシュさんはお父様も靴職人で、11歳からそのお父様の下で職人修行を始めたそうです。エバシュさんは全工程ができる靴職人ですが、ポール・パークマンの製作は10人ほどの職人さんによる分業制との事。

アッパーの妖艶な色使いが特徴的なポール・パークマン。作風としてはベルルッティや最近のイタリア既製靴、または今井宏樹さんと似ているかもしれませんが、それらよりもさらにインパクトが強いデザインです。センディシュさんによると、モダンとアップデイトを意識しての靴作りだそうで、英国、アメリカ、フランス、イタリアのトラッドとは違う、独自路線で勝負していきたい意欲が見られました。

このモデルはアッパーのデザインがシンプルな分、グラデーションが際立ちますね。一般的に、靴紐は黒か茶が多いですが、ポール・パークマンの場合、その靴紐のヴァリエイションも広く、デザイン上のアクセントに効かせています。

パイソンレザー(左)やオーストリッチ(中央と右)と言ったエキゾティック・レザーを使うと、さらに存在感増しますね。他にもシャークスキン、スティングレイ、クロコダイルもあります。

パーフォレーションから覗く色を白にして、モード感漂うデザイン。ヴァンプとフェイシングを繋ぐスティッチ(スロートライン)はレベルソ仕立てのように見えます。

2アイレットの変則ギリーに、外側だけの変則オパンケ製法、紫のアッパー革、赤の靴紐と、どれもベーシックから外れたデザインは近未来感さえ漂います。なお、オパンケ製法ならではのサイドに入るスティッチも、もちろん手縫いです。

アッパー革は全て素仕上げ(クラストレザー)の状態から着色するため、濃淡や表情が出しやすいわけですね。もちろんこれも手作業で行われ、ポール・パークマンの特徴の一つです。

さて、このポール・パークマンの会社の周りには、靴メイカーや革業者、靴の部材・資材屋さんがずらっと軒を連ねております。まるで浅草の靴問屋街です。

靴関係の会社ばかりで驚きます。

浅草の靴問屋街ほど大きく広がってはおりませんが、その集中度は浅草以上です。建物のすぐ隣、また隣、さらにまた隣と、どんどん靴関係の会社が現れます。

こちらはラスト屋さんですね。言うまでもなく、掲載している会社はほんのごく一部です。

そして、その界隈にある会社の一つが、Sepici Holding(セピチ・ホールディング)と言う革のサプライヤーで、ここはルイ・ヴィトン、オールデン、アレン・エドモンズと言った会社に革を卸しています。上画像は、そのセピチ・ホールディングの中です。

そして、ポール・パークマンはエバシュさん、センディシュさん、セピチ・ホールディングさんのお三方で立ち上げた会社だそうです。ポール・パークマンがハンドメイドながら価格が抑えられているのは、トルコの人件費が安めなのもあると思いますが、卸や小売店を通さない、オンライン直販のうえ、受注生産なので在庫も抱えずに済み、そして革も自分たちで調達できるメリットがあるためかなと思いました。他では見られない色使いと作風もあって、非常に面白いブランドだと思いました。

【Mahmut(マフムト)】
住所:istiklal cad. no: 35, taksim, İstanbul
価格:短靴で230-235リラほど。
店主さんが英語が話せないため、詳細は分からなかったのですが、僕の見る限り、グッドイヤー・ウェルテッド製法のようでした(違っていたら、すいません)。それでいて、日本円換算で9,000円前後ほど(もちろん為替相場によりますが)なのでお買い得です。

ショー・ウィンドウにあったサンプル。

見る限りだと、価格以上のクォリティで、コストパフォーマンス良さそうです。

店内には在庫の箱がびっしりと置かれていました。
※情報はいずれも、僕が訪問した2015年1月14・15日時点のものです。
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