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Valentin Frunză, ZENONNI, ARINA in Chişinău(キシナウのヴァレンティン・フルンザ、ゼノンニ、アリナ)

CATEGORY靴・服飾
ヴァレンティン・フルンザさんの店舗

【Valentin Frunză(ヴァレンティン・フルンザ)】
【ZENONNI(ゼノンニ)】
住所:Str. Mateevici, 49, Chisinau
価格:ビスポーク・シューズ、9,000レイ~。ビスポーク・スーツ、800ユーロ~。MTMスーツは600ユーロ~。ビスポーク・シャツは120ユーロ~。

ビスポーク・シューズは1ヶ月で完成。仮縫い時はトライアルシューズを作成。ビスポーク・スーツは5週間、ビスポーク・シャツは3週間で完成。ビスポーク・シュー・メイカーのValentin Frunză(ヴァレンティン・フルンザ)と、ブカレストに本社を置くビスポーク・テイラーの会社、ZENONNI(ゼノンニ)の合同のお店です。英語可。


ヴァレンティン・フルンザさん

77年生まれ、オーナー兼靴職人のValentin Frunză(ヴァレンティン・フルンザ)さんはお父様も靴職人で、12歳から靴作りを学び始め、初めて靴を作ったのは16歳の時!ただ、ルーマニアのブカレストで大学卒業後は、そのままブカレストにて会社員生活。その後はブリュッセルで車の販売を5年されていて、さらにその後はモスクワにて2年、Turo Tailorと言うフィンランドのスーツを販売していたそうです。しかし、そのモスクワにて名著「Handmade Shoes For Men」と出会い、ハンドメイドシューズに惹かれるようになり、09年にキシナウに戻って靴職人として活動を始めた、面白い経歴の方です。
なお、モルドヴァの多くの方はルーマニア(モルドヴァ)語とロシア語の両方を解し(旧ソ連圏だから)、フルンザさんは過去の経歴もあって英語とフランス語も堪能です。


アリナ・メレウタさん

ビスポーク・テイラー、ZENONNI(ゼノンニ)キシナウ店のマネージャー、Alina Mereuta(アリナ・メレウタ)さん。スーツを注文希望の場合は訪問の数時間前までに要アポイントメントで、アリナさんが採寸とデザインの打ち合わせを行います。そして、実際の製作はキシナウではなく、ブカレスト本社で行われます。


ヴァレンティン・フルンザさんの初製作靴

フルンザさんが16歳時に初めて作った靴。コバから見えるスティッチはダミーのセメント製法で、靴職人だったお父様もセメント製法の靴を手がけていたとの事。


ヴァレンティン・フルンザさんの初製作靴のインソックス

そしてこの靴、当然、モルドヴァ製なのですが、インソックスにはMade in Itary(メイド・イン・イタリー)、そしてMILANOと書かれ、若者らしい茶目っ気です(笑)。


ヴァレンティン・フルンザさんの店内

店内の様子です。


ヴァレンティン・フルンザさんのサンプルシューズ棚

そして、フルンザさん製ビスポーク・シューズのサンプル棚。


ヴァレンティン・フルンザさんのサンプル


ヴァレンティン・フルンザさんのオックスフォードサンプル


ヴァレンティン・フルンザさんのオックスフードサンプル

ヴァーシュなど、ドイツや中東欧圏でよく見られる、丸みの強いフォルムが特徴ですね。なお、アウトソールから出し縫いが見える、オープントラックが基本仕様で、もちろん要望があればヒドゥン・チャネルソールも可能です。


ヴァレンティン・フルンザさんのクロコとのコンビシューズ


クロコとのコンビシューズ。甲とトウでクロコの斑の大きさが異なり、この不規則性でカジュアル感が増す表情になっていますね。


ヴァレンティン・フルンザさんのローファー

こちらはトウライン長めで、イタリア靴の雰囲気がありますね。


ヴァレンティン・フルンザさんのサンプルレースアップブーツ

フルンザさんが影響を受けた、「Handmade Shoes For Men」にあったモデルを模して作ったと言うブーツ。おそらく、同著の84ページにある、コンビのレースアップブーツの事でしょう。


ヴァレンティン・フルンザさんのフットベッド

そして、ドイツや中東欧圏のビスポーク・シュー・メイカーでよく見られるように、土踏まず部分にはフットベッドも仕込まれます。


ヴァレンティン・フルンザさんのラスト棚

フルンザさんはラストは木製とプラスティック製を併用しており、木製はウィーンとローマ、プラスティックはイスタンブールとティミショアラから仕入れております。


ヴァレンティン・フルンザさんの革のストックルーム

お店の半地下にある、革のストックルーム。革はウィーンの会社から仕入れており、アッパー革はウィーンのビスポーク・シュー・メイカーと同様にフレンチカーフが主。ライニングはヴァーシュと同じ物を使用しているとの事。


ヴァレンティン・フルンザさんのレンデンバッハ

インソール、アウトソールの革はともにレンデンバッハを使用。


ヴァレンティン・フルンザさんのトルコレザー

さらに、イスタンブールの革も仕入れています。


ヴァレンティン・フルンザさん仕事中

フルンザさんの作業中。職人さんは他に二人いるそうで、フルンザさんと合わせて合計三人で作業をしております。フィラーはコルクで、シャンクはメタルとレザーを合わせて用い、これも他の多くのドイツや中東欧のビスポーク・シュー・メイカーと同様ですね。インソールのくせ付け工程は、いくつかの日本のビスポーク・シュー・メイカーさんと同様に、ラストとインソールをゴムで巻きあげてくせを付ける手法です。なお、製甲は外注しております。


ヴァレンティン・フルンザさんのワークショップ


ヴァレンティン・フルンザさんのワークショップ

作業場の様子です。製甲については外注なので分かりませんが、底付けに関する作業は漉き機は用いず、ハンドで作業するそうです。




キシナウの注文靴店

【ARINA(アリナ)】
住所:注文靴、500レイ~。
価格:Vasile Alecsandri, 66, Chisinau

セメント製法の注文靴店で、30日で完成。ダンスシューズが得意ですが、普通の靴も作って下さり、既製靴もあります。英語不可。


キシナウの注文靴店主

職人のIon(イオン)さん。他にも職人さんはいらっしゃいます。手にしているブーツは飾りが多い事もあって、1,200レイ。


キシナウの注文靴店のサンプル

店頭にあるサンプルはレディースが多かったです。



※情報はいずれも、僕が訪問した2014年12月20・22日時点のものです。
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