VIV STUDIO and Club Bespoke in Moscow(モスクワのヴィヴ・ストゥディオとクラブ・ビスポーク)
CATEGORY靴・服飾

【VIV STUDIO(ヴィヴ・ストゥディオ)】
住所:非公開。アポイントについては、Eメールのto@vivstudio.comか、電話番号:+79856432569よりお問い合わせ下さい。
価格:ビスポーク・スーツ、160,000ルーブル~。ビスポーク・シャツ、20,000ルーブルほど。
スーツは仮縫い3回、2・3ヶ月で完成。シャツは仮縫い2回。

シベリア出身、代表で職人の、ВАЛЕНТИНА ИВАНОВА(Valentina Ivanova、ヴァレンティナ・イヴァノヴァ)さんが全工程を一人で行っております。ご祖母様もテイラーで、なおかつご一家の女性は皆、縫製、刺繍、編み物と言った針仕事ができるとか。ヴァレンティナさんは元々はレディースのテイラーさんだったそうですが、約10年前にメンズデザインに興味を持ってメンズのテイラーに転身。英語はまずまず可能で、店舗はなく、基本的に出張採寸で注文を採っておられます。

このサンプルのスーツは柔らかいラインですね。ヴァレンティナさんご自身は英国スタイルがお好きです。

ヴァレンティナさん作成のパターン。カッティングについては日本でも盛んに使われるミュラーシステムが基だそうで、つまりドイツ式ですね。ミュラーシステムらしく、「アナトミーに基づいて作る」とお話されていました。ただ、場合によってはパターンを作らない事もあるそうです。採寸は35箇所ほどとの事。


芯地はフランス製を用いての、当然自作です。フランス製の芯地は丈夫で軽い、との事。

ヴァレンティナさんは天然素材にこだわっており、縫い糸やボタンホール、ボタン付けに使う糸など、基本的に全てシルク糸です。

ご参考までに、ヴァレンティナさんによる手縫いのイニシャル入れ。

そして、手縫いのボタンホールです。

そしてここからは、ヴァレンティナさん製スーツの写真です。




こちらはメンズに転身した初期に製作したと言うジャケット。クラシックなスーツ以外にも、こう言ったカジュアルウェアもお仕立て可能で、ジーンズの注文も受けておられます。

このジャケットはハンティングジャケットに見られるアクションプリーツも入っておりますね。

元々はレディースのテイラーさんなので、現在もレディースを受け付けており、こう言ったドレスも作って下さいます。豪奢です!なお、ヴァレンティナさんの作品については、公式ウェブサイトにある動画でもご覧頂けます。


ヴァレンティナさんがこれまで描かれたデザイン画が大量にありました。自ら手を動かす職人さんとしてだけでなく、デザイナー気質も強い方です。

ヴァレンティナさんが使用されている、ロシア語のメンズ・ビスポークテイラーリングの教本。

英国スタイルがお好きのヴァレンティナさんは扱う生地も英国製が多く、イタリア製はロロ・ピアーナだけでした。エスコリアルもございますね。そして、ライニングはフランス製シルクかホーランド&シェリーのヴィスコースのみ。「化学繊維はコンフォートではないから」との理由で、ポリエステルやナイロンと言った化学繊維は使わないとの事。天然素材がお好きな、ヴァレンティナさんらしいですね。

さらに服飾だけでなく、上画像のようにトパーズ、ビーズ、クリスタルなどをあしらったストールや、アクセサリーも製作されております!これらはオンラインオーダーも受け付けており、もちろんビーズなどの組み合わせも変更可能です。こう言ったアクセサリーのデザインセンスは、女性だからこその強みがあるように思います。

ヴァレンティナさんの刺繍仕事の一例。これらもシルク糸で行うそうです。

これは趣味で編まれたと言うニットキャップ。ヴァレンティナさん、とにかく服作りがお好きなのが伝わって来ます(笑)。こう言った編み物も注文可能か伺うと、「努力してみるわ」との事。

そして、ピアノがご趣味のヴァレンティナさん、僕の帰り際に一曲弾いて下さいまして、お心遣いに癒されました♪

【Club Bespoke(クラブ・ビスポーク)】
住所:Prechistenskaya nab., 45/1с3, Moskva
価格:ビスポーク・スーツ、2,500ユーロほど。ビスポーク・シャツ、280ユーロほど。ビスポークベルト、250ユーロほど。ビスポークネクタイ、150ユーロほど。
自社工房はなく、提携業者のビスポークを受け付ける、ビスポーク・サロンです。スーツもシャツも仮縫いは1・2回で、シャツの場合は仮縫い時、別生地でトライアルシャツを作成。英語可。

代表のАнастасия Марковская(Anastassia Markovskaya、アナスタシア・マルコフスカヤ)さんと、ディベロップメントディレクターでテイラーのアシスタントも務める、Дмитрий Дюбюк(Dmitri Dubuc、ドミトリイ・ジュビュク)さん。

スーツはミラノのサルトリア、Santerasmo Cinque(サンテラースモ・チンクエ)が月に一度来て注文を受けております。


このコートはリバーシブルとなっており、こう言った仕様も注文可能です。

ネクタイのビスポークも受け付けております。イタリアのニットブランド、フィラティ・ビアジョーリやカリアッジの色やモデル、サイズを選んでのパターン・オーダーニットもあります。

靴はミラノにあるRivolta(リヴォルタ)製で、ビスポークは1,900ユーロ~で2ヶ月で完成。MTOは1,030ユーロ~で1ヶ月で完成。既製は790ユーロ~。靴の価格はミラノの本店と同価格ですが、これとは別にミラノからの送料がかかるようです。

リヴォルタのサンプルです。丸みの強い、クラシック寄りのフォルムですね。

製法はマッケイ製法に、ハンドソーン・ウェルテッド製法で九分仕立てと十分仕立てがあります。

リヴォルタのカットモデルです。フィラーはコルク、シャンクは木製ですね。

ヒールを中空にして、軽くなるように仕上げております。面白い工夫ですね。

ユニークなのが、ビスポークではこれに足を乗せてスキャンし、そのデータを基にミラノにてラストが作成されます。このシステムにより、職人さんが来ずともビスポークを受け付けるのを可能としており、そして仮縫いもありません。なお、MTOではスキャンはなく、革やモデルを選んでの注文になります。

やはり寒冷地だけあって、ライニングにラビットファーやシープスキンも使用できます。そして、これら以外にも革のカードケースなども注文を受け付けています。
※情報はいずれも、僕が訪問した2014年12月11日~12日時点のものです。
※17年10月22日15時30分、ヴィヴ・ストゥディオの記事に追記を行いました。
※18年2月4日23時25分、ヴィヴ・ストゥディオの記事に画像とテキストの変更、追加、追記を行いました。
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