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København Clothing Shop(コペンハーゲンの服飾店)

CATEGORY靴・服飾
ヴィズベルの店舗

【I.W.Hvidberg(I.W.ヴィズベル)】
住所:Løngangstræde 25, 1468 København,
価格:ビスポーク・スーツ2,900ユーロ、生地代別。シャツ240ユーロ~、要3着分以上注文。EU製MTMスーツは600ユーロ~。MTMのシャツはイタリア製で110ユーロ~。

1780年創業の老舗高級生地商でして、表地はもちろんの事、裏地、芯地、肩パッド、ボタン、ファスナーなどの副資材、糸、針、鋏など、仕立てに関する物なら何でもあり、お店にはプロであろう方が何人も来店して、買い物をしておりました。他、カフリンクス、ベルト、ネクタイ、ブレイシーズなどの販売もあります、
そして、ビスポークも受け付けており、ビスポーク・スーツの仮縫いは2~4回。2~3ヶ月で完成。仕立ての教室も開いております。英語可。


ヴィズベルの店主さん

61年生まれで、店主のUlrik Hvidberg(ウハイク・ヴィズベル)さん。お店の歴史を読むと、ウハイクさんは7代目かそれ以上の代の当主と言えそうです。どんな物、どんな色柄の生地が欲しいのか伝えれば、希望に沿う物を膨大な商品の中から探し出して下さいます。


ヴィズベルの店内

奥行きある、広い店内です。


ヴィズベルの店内

メンズスーツ生地は耳にブランドネームの入ってない、英国製生地が多かったです。ネームが入っているものとしては、ドーメル、ホーランド&シェリー、ガニヤ、スコフィールド&スミスなどがありました。もちろんヴィンテージもあり、僕が見たガニヤ、スコフィールド&スミスはヴィンテージでした。イタリア製でしたら、ロロ・ピアーナがありました。

参考までに、ネームの入ってないヴィンテージの英国製生地は1mあたり90ユーロほど。カシミア100%コート生地で1mあたり130ユーロ~。こちらにウェブショップがあるので、そちらで価格もご覧頂けます。


ヴィズベル取り扱いツイード

ハリスツイードやホーランド&シェリーのツイードもあります。


ヴィズベルの店内

ご覧のとおり、メンズスーツだけでなく、レディース用、ライニング用など多種多彩に揃えております。


ヴィズベルの店内




ヴィズベルのファンシー生地

ファンシーな生地も多いです。


ヴィズベルのシャツ生地

もちろんシャツ生地もあり、イタリア製で1mあたり17ユーロ~。日本製デニム生地もあり、その日本製ウールデニムを使用してのイタリア製MTMジーンズは340ユーロ~。


ヴィズベルの副資材

芯地などの副資材も揃います


ヴィズベルのアトリエ

そして、店舗奥には工房があり、ビスポーク・スーツを作成しております。


ヴィスベルの歴代店主の肖像

歴代店主や関係者の肖像画や写真が10名も飾られている事に、長い歴史を感じます。ちなみに、創業者のHenrik Hansen Lund(ヘンリク・ハンセン・ルンド)氏の息子さんの一人は、有名な学者のPeter Wilhelm Lund(ペーター・ヴィルヘルム・ルンド)氏です。




プチットガスの店舗

【F. Petitgas Eftf.(F・プチットガス・エフトゥフ)】
住所:Købmagergade 5, 1150 København

1857年4月23日創業、ロンドンのロック帽子店に次いで、世界で二番目に古い帽子店です。あの世界的に著名なデンマークの童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(アナーソン)も顧客だったとか。現在はビスポークやオリジナルの帽子はないものの、世界各国の上質な帽子を揃えているのが特徴です。帽子だけでなく、デンマーク製のハンドメイドステッキや、デンマーク王室御用達の手袋、ラナス・ハンドスカーも扱っております。英語可。


プチットガスの店主さん

僕が訪問時は52歳、店主のBernhard Tommerup(ベーンハルト・チョーマロ)さん。初代のフランソワ・プチットガス氏が亡くなられた後は、奥様と娘様が引き継ぎ、やがてAnton Rasmussen(アントン・ラスムセン)氏にお店を売却。ラスムセン氏による経営は三代続き、その三代目であるSteen Rasmussen(スティーン・ラスムセン)さんとともに働いていた、Kurt P. Jensen(クルト・P・イェンセン)氏がお店を引き継ぎ、イェンセン氏から13年にお店を買い取ったのが、チョーマロさんです。つまり、チョーマロさんは7代目店主になりますね。
ちなみに、ご着用されているハリスツイードのジャケットについて、チョーマロさんは「店内は暖房が効いているけど、この時期(11月後半)はお客が入って来る時に寒風が入る。それに丁度良いのがこれだね」とお話されていました。


プチットガス店内

イタリアのボルサリーノ、アメリカのステットソン、ドイツのマイザー、アイルランドのジョナサン・リチャード、スウェーデンブランドでエストニア製のヴィーゲンスなど、品揃え豊富な店内。


プチットガスの店内

お店は小さいですが、やはり老舗だけあってお客の出入りは多かったです。


プチットガスのシルク製トップハット

日本ではなかなか入手できないトップハットも、ここではさすがに売られています。上画像はドイツのヴィグナー製で、表地はシルク使用で4,000クローネ。表地がラビットの場合は3,200クローネ。


プチットガスの採寸器具

基本的に海外から輸入した既製帽子のみの取り扱いですが、限定的に医者や教授へビスポーク帽子を作るそうで、その時に使う、フランス製計測器具。ロンドンをはじめ、他のヨーロッパのビスポーク帽子店でも同様の器具が使われていますね。


プチットガスの創業者

創業者のFrançois Petitgas(フランソワ・プチットガス)氏の写真。パリ出身ながら、デンマークの女性とご結婚されたため、コペンハーゲンにて開業されたそうです。


プチットガス創業者の賞状

フランソワ・プチットガス氏が1900年のパリ万国博覧会にて受賞した、国際審査賞金メダルの賞状。


プチットガスの杖

ステッキも販売されており、ハンドルが曲げられているのがスコットランド製で250クローネ~。ハンドルが直線なのが、デンマーク製ハンドメイドで、950クローネ~。


プチットガスのステッキの持ち手

デンマーク製ハンドメイドステッキの持ち手は、左手で持ちやすいよう、左右非対称になっています。このステッキのブランド名について伺うと、「Asserbo Stok(アーセボ・ストック)」。ただ、Asserboはデンマークの地名で、Stokはステッキの意味と、ブランド名はあってないようなものだそうです。

さらに、デンマーク王室御用達の手袋、ラナス・ハンドスカーも取り扱っております。ペッカリー使用のライニングなし(価格1,700クローネ~)の試着させて頂きましたが、フィット感良好で、私物のデンツよりしっとりした感触が印象的でした。なお、ペッカリー素材でラムライニングの場合は3,200クローネ。


プチットガスで使われる日本製ブラシ

売り物ではないですが、陳列されている帽子の手入れに使うのは日本製ブラシでした。一日にたくさんの帽子を手入れするには、これが最適との事。


プチットガスの賞状

プチットガスはイタリアのボルサリーノと同じく1857年創業で、1957年にお互いの創業100周年を記念して、ボルサリーノより送られた書状。




ラナス・ハンドスカーの店舗

【Randers Handsker(ラナス・ハンドスカー)】
住所: Frederiksberggade 36, 1459 København K

プチットガスでも取り扱われている、デンマーク王室御用達の手袋専門店です。ここはあくまで店舗でして、本社はデンマークのラナス(ランナース)にあります。参考までに、価格はラム素材で645クローネ~。ペッカリーのライニングなしで1,700クローネ~。英語可。




シグネ・ケジェボの店舗

【Signe Kejlbo(シグネ・ケジェボ)】
住所:Ny Carlsberg Vej 37, 1760 København V

手織りやプリントスクリーンの生地メイカーです。前回ご紹介した、ビスポーク・テイラーの「ビスポーク」さんと工房をシェアされて活動されております。英語可。


シグネ・ケジェボさん

代表で職人のSigne Kejlbo(シグネ・ケジェボ)さん。織機がご覧頂けるとおり、手織りも行っております。


シグネ・ケジェボさん作成生地

ケジェボさん作成の生地たち。アヴァンギャルドなデザインですね。


シグネ・ケジェボさん作成生地


シグネ・ケジェボさんの工房

作成する生地は多岐に及んでおり、プリントだけでなく、毛皮の手織りも行っております。参考までに、フォックスの手織り生地は1mあたり1,000ユーロ。




フィックス&ウェアの店舗

【Fix & Wear(フィックス&ウェア)】
住所:Kld., Rådhusstræde 8, 1466 København K
Marielundvej 46b, 2730 Herlev

デンマークには仕立て業者の組合があり、その組合に属する、お直しサーヴィスのお店です。服のお直しだけでなく、クリーニング、鞄の修理も受け着けております。上記のとおり、デンマークのコペンハーゲンとヘアレウに店舗があり、ご紹介しているのはコペンハーゲン店です。英語可。


フィックス&ウェアのオーナーさん

代表で、アフガニスタン出身のSayed Ahmad Hotaki(サイード・アマド・ホタキ)さん。もちろん職人です。


フィックス&ウェアの職人さん

ディレクターで、やはり職人でもある、Sher Khan(シェア・ハーン)さん。


フィックス&ウェアの店内

店舗では他にも複数の職人さんがおり、作業に勤しんでおられました。


フィックス&ウェアの店内



※情報はいずれも、僕が訪問した2014年11月20日~21日時点のものです。

※15年12月29日にプチットガスの歴代当主について、同30日にI.W.ヴィズベルの歴代当主について追記しました。
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