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Harai Schuhe in Neumünster(ノイミュンスターのハライ靴店)

ハライの店舗

【Harai Schuhe(ハライ靴店)】
住所: Esplanade 20, 24534 Neumünster
価格:ビスポーク・シューズ2,100ユーロ~。コードヴァンは2,600ユーロ~。

6-20週間で完成。アッパーはアノネイやイタリア産。コードヴァンはホーウィンかアルゼンティン産。ソール材はドイツのマーティン。レンデンバッハよりも柔らかく、漉きやすいのがマーティン使用の理由との事。僕もマーティンとレンデンバッハの革を触らせてもらいましたが、確かにマーティンは柔らかかったです。ウェルトやライニングもドイツ産。ベルトやゴルフクラブのヘッドカバーも作成。英語はある程度可能。


マーティン・ハライ親方

62年生でハライ靴店の二代目、Martin Harai(マーティン・ハライ)親方と、お弟子さんで僕が伺った当時は20歳のShannon Adomat(シャノン・アドマット)さん。そして手前のお犬君は、お店の癒し担当で、当時6歳のMicky(ミッキー)君。あと、この日は不在でしたが、他にもう一人靴職人さんと、90年から勤めるルーマニア出身の製甲師さんがいらっしゃいます。ハライ親方は靴職人のマイスター資格をお持ちです。


ユリウス・ハライ

創業者で、マーティン・ハライ親方のお父様である、Julius Harai(ユリウス・ハライ)親方の写真。21年にブダペストで生まれ、47年にここ、ドイツのノイミュンスターでお店を創業したそうです。そして、初代も二代目も、奇しくも同じ30歳時に靴職人のマイスター資格を取得されました。


ハライのサンプルシューズ

ハライのサンプルシューズです。


ハライブダペストモデル

ハライのルーツで、ハウススタイルの一つであるブダペストラスト使用のサンプル。


ハライ英国モデル

そしてこちらは、イングリッシュラストのサンプル。ブダペストラストより細身ですね。


ハライのサンプルトウ

左:ブダペストラスト。
右:イングリッシュラスト。

ブダペストラストの方がトウが急角度で落ちており、まさにハンガリーのハンドメイドシューズでよく見られるスタイルです。



ハライのチゼルトウモデル

チゼルトウのニューモデル。踝辺りに、緩やかにUの字に入る飾りスティッチも特徴ですね。


ハライのチゼルトウモデル

こちらもチゼルトウで、つま先がより鋭角に落ちていますね。


ハライのならでのデザイン

黄点線で囲った、ヒール側面に鋭角に内側へ入るブローギングが、ハライの特徴的デザインです。


ハライの旗マーク

そして、ブダペストラストでダブルソールの靴には、ヒール前方に黄点線で囲った、"Harai Flagge(ハライの旗)"と呼ばれる刻印が入ります。


ハライのサッカーシューズ

初代のユリウス・ハライ親方が1954年に作った、ハンドメイドのサッカーシューズ。これは1954年W杯の西ドイツ代表優勝メンバーが履いていたサッカーシューズが基になっているそうです。なお、このW杯準優勝チームは、ユリウス・ハライ親方出身である、ハンガリー代表(マジック・マジャール)ですね。ユリウス・ハライ親方はドイツサッカー史に残る名選手、ウーヴェ・ゼーラー氏に靴を作った事もあるそうです。


ハライのサッカーシューズのソール

サッカーシューズらしく、歯も付いておりますね。そして、底付けは木釘。ただ、マーティン・ハライ親方は「現代において、底付けに木釘を使うのはショー(見せ物)にすぎない」と否定的で、理由としては、木釘は固くなるし、革鳴りもしやすいからとの事。


ハライのサンプル

そして、そのサッカーシューズを模した、25足限定モデル。歯は付いてなく、チャッカブーツながら5アイレットと珍しいスタイルになっておりますね(普通、チャッカブーツは2か3アイレット)。9色のスウェード素材から選んでの注文で、価格も製作年にちなんで、1,954ユーロです。


ハライの靴カットモデル

ハライの靴のカットモデル。フィラーはコルクで、シャンクはドイツや中東欧では一般的な、メタルとレザーを合わせる手法。ただ、メタルシャンクだと空港での金属探知機に反応しやすいため、それが気になるお客にはカーボンを使用。カーボンシャンクは四之宮玄騎さんも使っており、熱を当てれば変形し、冷めたら形状を保持して丈夫、そして軽量と、シャンクに最適な素材とか。ただ、昔のカーボンは熱を当てると毒素が出るので、扱いに注意が必要だそうです。
そして、先芯と月型芯も基本的には革ですが、お客がハンマートウだったり、つま先に障害がある場合は、先芯にはサーモプラスティックを使用。


ハライのフットプリント

ハライ親方は採寸時、メジャーで数値を測るだけでなく、フットプリントと、この特殊スポンジを用いて足型採取も行います。このピンクの特殊スポンジに足を乗せると加重でへこみ、そのへこみは元に戻らず、足型が残ります。これはハライ親方だけでなく、整形靴の手法を採用しているメイカーでしばしば見られる方法です。


ハライの仮縫い用靴

そして仮縫い時は、他のドイツのメイカーで見られるように、透明プラスティック製の仮縫い用靴でフィッティングを確認します。


ハライ親方作業中

作業中のハライ親方。元々は電子工学を学びたかったそうで、現在はマックブックやiPadなどを使いこなすMacユーザーです。


ハライの職人さんの作業

アドマットさんの作業の様子。ご覧のとおり、ソールに出来合いは使用せず、革の大判から切り出していました。アドマットさんが使っている革をカットする鋏は、他のドイツのビスポーク・シュー・メイカーでも見られます。他国では、ナイフを使っておりますね。ドイツは他国と比べて職人の工具も充実していると聞くので、そのせいかもしれません。


ハライのラストルーム

お父様の代からの人気店だけあって、保管されているラスト数も凄く、全部で5000足分もあるとの事。映っているのは、ほんの一部です。このラスト保管室は、元々はお父様の作業場だったそうです。


ハライ使用カーフ

ハライで使われるカーフの一つ。


ハライの黒カーフ

この黒カーフはワックスを染み込ませているため、シャイニーで柔らかいとの事。


ハライのベイビークロコ

ハライのオリジナルカラーと言う、明るい茶色のベイビークロコ。前述のとおりコードヴァンもあり、「コードヴァンはワークシューズ用で、ドレスシューズ用ではない」と、ハライ親方。なお、日本における人気素材として、コードヴァンとツイードが挙げられますが、この二つはドイツの人気素材でもあり、日本とドイツ、嗜好が似てそうです(笑)。


ハライのシューケアボックス

店内で売られているシューケアボックス。700ユーロと500ユーロのタイプがあります。


ハライの圧縮機

革を水に漬けて柔らかくする工程の際、その水を搾り出すための器具。この漬ける水にも、革を柔らかくするための天然成分を混ぜており、その水も触らせて頂きましたが、天然成分だけあってべとつく感じは全くなく、真水と変わりませんでした。そして、その水も柔らかくする効果を高めるためでしょう、温めておりました。
また、アッパー革を塗らす事もあるそうですが、それはクロームなめしの革だけだそうです。


ハライで使用されるグラインダー

ナイフ付きのグラインダーは、1955年製の古い物。機械については、「古い物が良いね」との事。


ハライで使用されるフィニッシングマシン

仕上げ用の機械。磨くためのコットンパフが装着されていますが、これもそれぞれ種類が異なり、使い分けをしています。


ミッキー君

ハライ親方はお話の最中、「ちょっとショーを見せてあげるよ」と、ミッキー君の芸を見せて下さいました(笑)。ハライ親方が一本指を立てると、ちんちん。


ミッキー君

そしてハライ親方が両手を合わせると、この画像では分からないですが、ミッキー君も前足を合わせます(笑)。ハライ親方、靴作りだけでなく、芸を仕込むのも得意です(笑)。

また、ハライ親方は僕の帰り際に、「Harai goshi!(ハライゴシ!)」と声を上げました。ハライゴシって、あのハライゴシか?思ったら、まさに、あの払い腰でした(笑)。何でも、ネットでHaraiを検索すると、Harai goshiが相当ヒットするので覚えたとか(笑)。ハライ親方、話好きの面白い方でした♪


※情報はいずれも、僕が訪問した2014年11月14日時点のものです。

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