Brunon Kamiński and Bespoke Social Club in Warsaw(ワルシャワのブルノン・カミンスキーとビスポーク社交クラブ)
CATEGORY靴・服飾

【Brunon Kamiński(ブルノン・カミンスキー)】
住所:ul. Nowy Świat 22, Warszawa
価格:レディースがメインで、ビスポークで1,300ズウォティ~、夏用が1,200ズウォティ、ショートブーツ1,800ズウォティ、ロングブーツ2,500ズウォティ。メンズは2,000~3,000ズウォティ。
いずれもセメント製法での価格で、別料金でマッケイ製法、ハンドソーン・ウェルテッド製法も可能。
仮縫いなし。3週間ほどで完成。アッパー革はポーランドのヴァインハイマー使用。ソールはポーランド、ブラジル、スペイン産を使用。セメント製法が主のため接着剤を使用するわけですが、その接着剤もライ麦から自作しているそうです。ラストは、形状を変えやすい、軽いと言う理由で木製が多いですが、プラスティック製ラストは面白い形が多いため、レディースにはプラスティックラストを使用する事もあるそうです。フィラーはコルク、ラバー、レザーを用途によって使い分けるとの事。
靴の注文だけでなく、修理も請け負っておられます。英語可。

初代、ブルノン・カミンスキーさんの甥で、二代目当主のJacek Kamiński(ヤチェク・カミンスキー)さん。靴職人のマイスター資格を所持しています。手にしているのは、初代のブルノンさんが1957年のミュンヘンの靴コンテストで銀メダルを受賞した、飛行機を模した靴の片足。もう片足は、ワルシャワの靴博物館に展示されています。

ヤチェクさんも、ヤン・キールマンと同様のシームレスホールカットを作っておりました。ライニングもヒールにシームが一本入っているだけのワンピースです。

やはり、ヒールにもシームがありません。

シームレスホールカットのサンプルは、もう一つありました。

ヒールにシームがなく、トップリフトの間に(多分)オレンジの革を挟み込んでいて、デザインとしても面白いですね。

夏用のメッシュ素材の靴。

このメッシュも手編みだそうです。機械編みだと一枚が大きすぎるため、手編みになるとの事。なんとなくですが、手編みの方が柔らかそうでもありますね。

より精緻なフィッティングを求めて、採寸にはmmではなく、より細かい単位であるStich(シュティッフ)を使用。ご覧のとおり、1cm=15stichです。

初代ブルノン・カミンスキーさんが1958年にミュンヘンの靴コンテストで金メダルを受賞した、花を模したハイヒール。お店の名刺やプライスリストなどにはこの靴のイラストが使用され、お店のアイコンとも言うべき存在です。ちなみにセメント製法です。
そして以下からは、店内にあったサンプルシューズや店内の様子です。





昔、ポーランドにはJózef Sikora(ヨゼフ・シコラ)と言う伝説的名職人がいたそうで(故人)、ヤチェクさんは、その方からディプロマを授与して頂いたとの事。




さて、ひととおりヤチェクさんからお話を伺うと、ヤチェクさんは僕に、「面白い人を紹介するよ」と、何やら電話を始めました。そして、その電話を僕に渡してきたので、電話口の方と話すと、僕はその方と翌日にお会いする事になりました。ヤチェクさんのお店で待ち合わせして、いっしょにヤヌシュキヴィチさんのお店に行こうと……。

【BUT W BUTONIERCE – BESPOKE SOCIAL CLUB(ビスポーク社交クラブ・ブート・ウ・ブートニエルツェ)】
ヤチェクさんがご紹介して下さったのは、ポーランドのビスポーク社交クラブ、"BUT W BUTONIERCE(ブート・ウ・ブートニエルツェ)"代表のDamian Kot(ダミアン・コット)さん!偶然ですが、僕と同学年です(笑)。
メンズのクラシックエレガンスと職人技の促進を目的に2012年に設立され、会員数は30名。ただし、クラブのインターネットフォーラムは7000名以上との事。クラブでは、職人さんたちを招いてのイヴェントを開いたりしているそうです。英語も堪能なダミアンさんは、タデウシュ・ヤヌシュキヴィチさんのお店にて、英語が話せないヤヌシュキヴィチさんの通訳をして下さいました。ありがとうございました!
なお、ダミアンさんについては、KEIKARI.COMさんにあるインタヴューが分かりやすいです。

そして、僕も会員にして下さいまして、会員証であるピンバッチを頂きました♪

ダミアンさん自ら、僕のジャケットにピンバッチを付けて下さいました。BUT W BUTONIERCEは当然ポーランド語で、英訳するとShoe in the Buttonhole(シュー・イン・ザ・ボタンホール)。日本語訳すると、「ボタンホールに靴」となりますね。ご覧のとおり、ピンバッチは靴を模しておりますので、付けるとクラブ名どおりになります(笑)。

ダミアンさんが所有するビスポーク・シューズは、全てヤヌシュキヴィチさん製だそうで、上はその日にダミアンさんが履いていた、ヤヌシュキヴィチさん製の靴です。そして、ヤヌシュキヴィチさんはブート・ウ・ブートニエルツェの名誉会員でもあります。


ダミアンさん、写真もたくさん撮って下さいました。


ヤチェクさんのおかげで、素敵な出会いがあって嬉しかったです♪そして、11年前に伺った際も親切だったヤチェクさんが、今回も親切にして頂きまして、感謝の気持ちで一杯です!

【EXOXE(エクソクセ)】
ダミアン・コットさんの奥様は、パターンメイキングとテイラーリングも行う、ファッション・デザイナー。その奥様がデザインし、ダミアンさんが展開させている、エキゾティックレザー製の財布やカフリンクスをリーズナブルな価格で提供しているブランドが、"EXOXE(エクソクセ)"。品物は全てポーランド製ハンドメイドで、表革には、象、蛇(パイソン)、鮫、鰐、オーストリッチ、リザードを使用し、エキゾチック・レザー以外に、カーフもあります。財布のライニングには厚さ0.5mmのゴートスキンを使用。なお、オンライン・ショップは現在ポーランド語のみで、英語版については現在検討中との事。

日本の鮫革を用いたエクソクセの財布。ウェブサイトでも、Japanese Sharkと書かれていますね。

カフリンクスはスティングレイ、ラピスラズリ、アメジストを用いたモデルがあり、スティングレイについては、ポリッシュ仕上げとナチュラル仕上げがあります。上はナチュラル仕上げで、スティングレイ特有の凹凸がありますね。

こちらはポリッシュ仕上げのスティングレイのカフリンクス。凹凸がなく、フラットですね。
※情報はいずれも、僕が訪問した、2014年10月21日~22日時点のものです。
※15年9月21日、エクソクセについて加筆し、ブート・ウ・ブートニエルツェについての説明も加筆・修正しました。
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