Jan Kielman and Tadeusz Januszkiewicz in Warsaw(ワルシャワのヤン・キールマンとタデウシュ・ヤヌシュキヴィチ)
CATEGORY靴・服飾

【Jan Kielman(ヤン・キールマン)】
住所:ul. Chmielna 6, Warszawa
価格:メンズのビスポークはセメント製法で3,000ズウォティ~。ハンドソーン・ウェルテッド製法で3,150ズウォティ~。
ショートブーツはセメント製法で3,200ズウォティ~。ハンドソーン・ウェルテッド製法で3,400ズウォティ~。
ロングブーツはハンドソーン・ウェルテッド製法で4,400ズウォティ~。
レディースはセメント製法が基本で2,700ズウォティ~。追加料金でハンドソーン・ウェルテッド製法も可能。
既製もあり、メンズはセメント製法で2,400ズウォティ~。ハンドソーン・ウェルテッド製法は2,550ズウォティ~。
ショートブーツはセメント製法で2,600ズウォティ~。ハンドソーン・ウェルテッド製法で2,800ズウォティ~。
ロングブーツはハンドソーン・ウェルテッド製法で3,800ズウォティ~。
レディースはセメント製法で2,150ズウォティ~。
仮縫いなし。5週間で完成。アッパーはポーランド、イタリア、フランス産などを使用し、ソールはイタリア、スペイン産に、ドイツのレンデンバッハもあります。以前からオンラインオーダーも受けて付けております。僕が伺った際は、4代目当主のマチエイ・キールマンさんは不在でして、奥様のモニカ・キールマンさんを含む、3名の販売スタッフさん(職人ではない)がいらっしゃり、全員英語可で(ポーランドでは珍しい)、靴の知識も豊富でした。

ヤン・キールマンの親方職人、Andrzej Dąbrowski(アンジェイ・ダンブロウスキー)さん。

ここでもシームレスホームカットを作っており、さらにこのモデルは出し縫い糸もウェルトから見えず、つまり、履き口周り以外は、まったくスティッチが見えないモデルです。当然、手間がかかるため、このモデルは既製で2,900ズウォティ、ビスポークで3,500ズウォティ。
なお、このシームレスホールカットは柔らかく仕上げられたアッパー革でないと作れないそうで、「ポーランド産カーフが適している」との事でした。アッパーに継ぎ目がないため、パターンで立体を作れず、釣り込み技術だけで立体成形せねばならない分、革に柔軟性が求められるためでしょう。
ちなみに僕は、10年ほど前に、シームレスホールカットを作った事がある某日本人靴職人さんが、「シームレスホールカットはドイツ原皮のドイツボックスカーフじゃないと作れない。同じドイツボックスでも、原皮がドイツ以外だと無理」と話していたと、靴業界関係者さんから聞いた事があります。やはり、アッパー革を選ぶモデルと言う事ですね。

上モデルのヒール。通常のホールカットだとここにシームが入りますが、それがありません。

そして、上モデルのトウ。ご覧のとおり、出し縫い糸も見えないように作っております。一見セメント製法かマッケイ製法にも見えますが、そうではなく、ウェルト内部に出し縫いが入っております。
この出し縫い糸をウェルト内部に隠し、コバが張り出している仕様を、ポーランド語で"sztuper gładki(シュトパー・グワツキ)"、英訳すると"Plain welted soles(プレーン・ウェルテッド・ソール)"、そして、出し縫い糸をウェルト内部に隠し、さらにコバを狭めて(攻めている)ドレッシーに仕上げる仕様を、ポーランド語で"krytopasowe(クルトパソヴァ)"、英訳するとcovered stitching(カヴァード・スティッチング)、またはhidden stitching(ヒドゥン・スティッチング) と呼ぶそうです。なお、上モデルは"sztuper gładki(シュトパー・グワツキ)"です。

こちらも出し縫い糸は隠しているものの、アッパーにシームのあるホールカット。メダリオンが外側半分しかなく、面白いデザインですね。

ただ、そのシームもヒール中央だと負荷がかかるため、サイド寄りにしています。

こちらは一見、コンビシューズですが……。

よく見ると、ホールカットにパーフォレイションと飾りスティッチを入れ、その境界で色分けをしただけのコンビシューズです。そして、このホールカットもシームはサイド寄りに入れていますね。

普段はお店に出していない、1929年製のレディースのサンプルシューズ。丁寧に作られていて、お店の宝物との事です。

1929年製のレディースサンプルのソール。

僕が伺った際は、ダンブロウスキーさんともう一人、職人さんが作業をしておりました。

ヤン・キールマンの姉妹ブランドにあたる、鞄と革小物ブランドの、Malton&Kielman(マルトン&キールマン)も扱っております。ビスポークも可能です。

マルトン&キールマンのロングブーツケース。

バーブァーやハリスツイードジャケットの取り扱いもあります。そして以下からは、店内に飾られているサンプルシューズです。

オーソドックスなモデルもありますが、変わったデザイン、カラーリングのモデルも豊富です。





ロングブーツのサンプルも多いです。ブーツの場合、釣り込み前に、あらかじめアッパーをくせ付けする、ブロッキング(日本ではクリッピングと呼ばれる)作業がありますが、そのブロッキングもハンドワークとの事。日本の場合、ハンドメイドシューズでも、この作業は別業者に依頼して、マシンで行うのが一般的です。

こちらはレディースのサンプル。セメント製法が多いです。



【Tadeusz Januszkiewicz(タデウシュ・ヤヌシュキヴィチ)】
住所:ul. Chmielna 10, Warszawa
価格:ビスポーク・シューズ2,300ズウォティ~。ショートブーツで2,500ズウォティ~。
仮縫いなし。2-3か月で完成。アッパー革はドイツ、イタリア、ポーランド産を使用。ソールはポーランド、ポルトガル産で、ドイツのレンデンバッハもあるとの事。ライニングにはゴートスキンも有。
採寸の様子を見る事ができ、ショートブーツの注文で、指の付け根回り(ボールガース)、甲回り(ウエストガース)、足首から踵周り(ヒールガース)と踝周りの4箇所を、お客さんが立位の状態で採寸し、そして足の周囲をなぞっておりました。フットプリントはなかったですが、これは毎回採らないのか、それともそのお客さんがリピーターのため、採取の必要がないと判断したのかは分かりません。英語不可。

靴職人のマイスター資格と整形靴のマイスター資格を持つ、Tadeusz Januszkiewicz(タデウシュ・ヤヌシュキヴィチ)さん。1927年生の大ヴェテラン!第二次世界大戦中に靴職人の仕事を始めたそうです。

ヤヌシュキヴィチさんの靴のカットモデル。トウ部分のアッパー革が二重になっているので、キャップトウやウィングチップを作る際、いったんプレーントウを作った後、キャップ革を被せて作る古典的手法を、ヤヌシュキヴィチさんも行っているのかもしれません。

ヤヌシュキヴィチさんもヤン・キールマンと同様、出し縫い糸をウェルトからも見せないモデルも作っております。

整形靴マイスターでもあるヤヌシュキヴィチさんは、個別インソールも作っております。ドイツで言う、アインラーゲンですね。そして以下から、ヤヌシュキヴィチさんのサンプルシューズです。東欧らしい、重厚なフォルムが多いです。









ヤヌシュキヴィチさんが獲得したディプロマや賞状。僕が04年に訪問した時よりも増えていました(笑)。
※情報はいずれも、僕が訪問した、2014年10月21日~22日時点のものです。
ちなみに僕は、10年ほど前に、シームレスホールカットを作った事がある某日本人靴職人さんが、「シームレスホールカットはドイツ原皮のドイツボックスカーフじゃないと作れない。同じドイツボックスでも、原皮がドイツ以外だと無理」と話していたと、靴業界関係者さんから聞いた事があります。やはり、アッパー革を選ぶモデルと言う事ですね。

上モデルのヒール。通常のホールカットだとここにシームが入りますが、それがありません。

そして、上モデルのトウ。ご覧のとおり、出し縫い糸も見えないように作っております。一見セメント製法かマッケイ製法にも見えますが、そうではなく、ウェルト内部に出し縫いが入っております。
この出し縫い糸をウェルト内部に隠し、コバが張り出している仕様を、ポーランド語で"sztuper gładki(シュトパー・グワツキ)"、英訳すると"Plain welted soles(プレーン・ウェルテッド・ソール)"、そして、出し縫い糸をウェルト内部に隠し、さらにコバを狭めて(攻めている)ドレッシーに仕上げる仕様を、ポーランド語で"krytopasowe(クルトパソヴァ)"、英訳するとcovered stitching(カヴァード・スティッチング)、またはhidden stitching(ヒドゥン・スティッチング) と呼ぶそうです。なお、上モデルは"sztuper gładki(シュトパー・グワツキ)"です。

こちらも出し縫い糸は隠しているものの、アッパーにシームのあるホールカット。メダリオンが外側半分しかなく、面白いデザインですね。

ただ、そのシームもヒール中央だと負荷がかかるため、サイド寄りにしています。

こちらは一見、コンビシューズですが……。

よく見ると、ホールカットにパーフォレイションと飾りスティッチを入れ、その境界で色分けをしただけのコンビシューズです。そして、このホールカットもシームはサイド寄りに入れていますね。

普段はお店に出していない、1929年製のレディースのサンプルシューズ。丁寧に作られていて、お店の宝物との事です。

1929年製のレディースサンプルのソール。

僕が伺った際は、ダンブロウスキーさんともう一人、職人さんが作業をしておりました。

ヤン・キールマンの姉妹ブランドにあたる、鞄と革小物ブランドの、Malton&Kielman(マルトン&キールマン)も扱っております。ビスポークも可能です。

マルトン&キールマンのロングブーツケース。

バーブァーやハリスツイードジャケットの取り扱いもあります。そして以下からは、店内に飾られているサンプルシューズです。

オーソドックスなモデルもありますが、変わったデザイン、カラーリングのモデルも豊富です。





ロングブーツのサンプルも多いです。ブーツの場合、釣り込み前に、あらかじめアッパーをくせ付けする、ブロッキング(日本ではクリッピングと呼ばれる)作業がありますが、そのブロッキングもハンドワークとの事。日本の場合、ハンドメイドシューズでも、この作業は別業者に依頼して、マシンで行うのが一般的です。

こちらはレディースのサンプル。セメント製法が多いです。



【Tadeusz Januszkiewicz(タデウシュ・ヤヌシュキヴィチ)】
住所:ul. Chmielna 10, Warszawa
価格:ビスポーク・シューズ2,300ズウォティ~。ショートブーツで2,500ズウォティ~。
仮縫いなし。2-3か月で完成。アッパー革はドイツ、イタリア、ポーランド産を使用。ソールはポーランド、ポルトガル産で、ドイツのレンデンバッハもあるとの事。ライニングにはゴートスキンも有。
採寸の様子を見る事ができ、ショートブーツの注文で、指の付け根回り(ボールガース)、甲回り(ウエストガース)、足首から踵周り(ヒールガース)と踝周りの4箇所を、お客さんが立位の状態で採寸し、そして足の周囲をなぞっておりました。フットプリントはなかったですが、これは毎回採らないのか、それともそのお客さんがリピーターのため、採取の必要がないと判断したのかは分かりません。英語不可。

靴職人のマイスター資格と整形靴のマイスター資格を持つ、Tadeusz Januszkiewicz(タデウシュ・ヤヌシュキヴィチ)さん。1927年生の大ヴェテラン!第二次世界大戦中に靴職人の仕事を始めたそうです。

ヤヌシュキヴィチさんの靴のカットモデル。トウ部分のアッパー革が二重になっているので、キャップトウやウィングチップを作る際、いったんプレーントウを作った後、キャップ革を被せて作る古典的手法を、ヤヌシュキヴィチさんも行っているのかもしれません。

ヤヌシュキヴィチさんもヤン・キールマンと同様、出し縫い糸をウェルトからも見せないモデルも作っております。

整形靴マイスターでもあるヤヌシュキヴィチさんは、個別インソールも作っております。ドイツで言う、アインラーゲンですね。そして以下から、ヤヌシュキヴィチさんのサンプルシューズです。東欧らしい、重厚なフォルムが多いです。









ヤヌシュキヴィチさんが獲得したディプロマや賞状。僕が04年に訪問した時よりも増えていました(笑)。
※情報はいずれも、僕が訪問した、2014年10月21日~22日時点のものです。
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