Shoes Family Maftei in Wien(ウィーンの靴家族・マフテイ)
CATEGORY靴・服飾

【MAFTEI(マフテイ)】
住所:Kuehnplatz 6, 1040 WIEN
Postgasse 11, 1010 WIEN
価格:既製靴はシュー・トゥリー込で500ユーロ~。ビスポークは1,000ユーロ~。二足目以降は100ユーロ値引き。通常はハンドソーン・ウェルテッド製法だが、木釘による底付けの場合は100ユーロ値引き。なお、注文の90%がハンドソーン・ウェルテッド製法だそうです。
コードヴァンは1,300ユーロ~。エレファント、カイマンは2,000ユーロ~。アリゲーターは3,000ユーロ~。ダブルソールの場合は、少々値上がり。ビスポーク用シュー・トゥリーは50ユーロ。
仮縫いではセメンテッド製法による、トライアル・シューズを作成。仮縫いまでの期間は約1ヶ月で、さらに1ヵ月後に完成。アッパーは多くがアノネイかデュプイのフレンチカーフ。素材は上記以外にも、オーストリッチやスティングレイなども有。ソールは全てレンデンバッハ。

ルドルフ・シェア&ゾーネにて5年勤務した後に独立された、Alexandru Maftei(アレクサンドル・マフテイ)親方と、奥様のLucia(ルチア)さん。ご夫妻は、英語は少し可能です。そして、アレクサンドル親方のお兄様は、現在でもルドルフ・シェア&ゾーネで勤務されておられます。
アレクサンドル親方はルーマニアのピアトラ・ネアムツ出身で、その頃からハンドメイド・シューズを作っていたとの事。そして、マフテイの靴も、製作はピアトラ・ネアムツで行われております。
ちなみに上の写真撮影時、奥様が親方のシャツの乱れを直してあげたり、親方は奥様にキスするそぶりを見せたりと、仲睦まじい様子が伺えました♪

2010年にお会いした際、僕がシームレスホールカットをご紹介したせいか、シームレスホールカットのサンプルをたくさん見せて下さいました(笑)。画像左は体重250kgもある顧客用に作成中の、巨大シームレスホールカット。


ご覧のとおり、アッパー革に継ぎ目はまったくありません。このホールカットをシームレスで作る理由については、「アートだから」との事。

こちらは顧客用ではなく、あくまでサンプルの、ウェルトが幾重もあるシームレスホールカット。手間がかかる仕様であるのは言うまでもありません。

こちらもあくまでサンプルですが、ウェルトが幾重もあるシームレスホールカットに、アッパーはハンドペイント。

さらに驚いたのが、このシームレスホールカットのショートブーツ!です。

ただでさえ釣り込みが難しいシームレスホールカットですが、ブーツだと短靴よりも曲線が強い分、さらに難しくなります。素晴らしい技術です!

もちろん、シームレスホールカット以外のモデルもございます。

こちらウィーンにある、マフテイのもう一つの店舗です。住所はPostgasse 11, 1010 WIEN。

上店舗の店主である、Lucian Maftei(ルチアン・マフテイ)さん。アレクサンドル親方の息子さんで、英語可。

店内にあるサンプル。




採寸時には、メジャリングだけでなく、フットプリントも採ります。

【Maßschuhe Stefan(シュテファン注文靴店)】
住所:Dorotheergasse 15, A-1010 Wien
価格:1,400ユーロ~。
採寸はマフテイやマテルナ同様、メジャリングだけでなくフットプリントも採取。仮縫い有。カーフは全てフレンチカーフ。ソールはレンデンバッハ。ホーウィンコードヴァンやオーストリッチも有。通常はハンドソーン・ウェルテッド製法だが、要望があれば木釘での底付けも行うそうです。ただ、ハンドソーン・ウェルテッド製法の方が良いとの事。英語可。

店主のStefan Maftei(シュテファン・マフテイ)さん。アレクサンドル・マフテイ親方の甥で、僕がお会いした際は28歳の若手です。お店そのものはマフテイとは関係なく、1939年に創業。シュテファンさんはルドルフ・シェア&ゾーネで3年勤務後、2010年にこのお店に入り、その年に先代であるOtto Bartkiewicz(オットー・バルトキイッチ)氏が亡くなったため、そのままお店を引き継いだそうです。現在はお一人でお店を運営されております。
シュテファンさんは元ルドルフ・シェア&ゾーネだけあって、そのルドルフで行われている、革を水に濡らして釣り込む手法も採用しておりました。具体的には、革に水を塗り、ビニール袋の中に入れて放置、その翌日にその革を使うのだそうです。この手法だと革の状態が良くなるそうです。ただし、濡らしすぎも良くないとの事。

事前に、シュテファンさんはアレクサンドル・マフテイ親方の甥であり、ルドルフ・シェア&ゾーネでも勤務歴があると聞いていたので、やはりマフテイかルドルフのようなスタイルなのかな?と思いきや、いざサンプルを見ると、「マテルナに似ている!」と思いました。それもそのはず、話を聞くと、製甲はマテルナに外注にしているそうです。これは先代の頃からずっと続いているそうで、「マテルナとは良いコンビだ」とお話されていました。なお、上のフルブローグは先代製。

こちらはシュテファンさん本人製。

こちらもシュテファンさん製で、コバの張り出しを抑えたブラインドウェルト。アッパー革はバッファロー。


このハイヒールも昔の作品。片足だけしか残ってないそうで、もう片足は、ショーウインドウに飾っていたら、そのショーウィンドウを破壊されて盗まれたとの事。

ヒールは革を積み上げて作っておりますが、その積み上げの様子がまったく見えず、滑らかに仕上げられた、素晴らしい仕事です。
なお、このシュテファンさんのお店は、元ルドルフ・シェア&ゾーネの四之宮玄騎さんにご紹介して頂きました。どうもありがとうございました!
※情報はいずれも、僕が訪問した、2014年10月8日~9日時点のものです。
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