小笠原猛監督、どうもありがとうございました。

僕はと言えば、どの撮影現場でもわがままでして、それはこのジャスピオンでも同様。小笠原監督の演出指示を無視したり、「今、眠いから仕事したくない」とか言ったり（←最低すぎ）、撮影関係者皆様を無茶苦茶困らせました……。しかも僕は、現場遅刻の常習犯。当然、僕は監督から怒られるのですが、何しろ子供だった僕は今よりも常識知らずで、気も強かったです。監督が怒鳴ると、僕は負けじと言い返しており（←馬鹿すぎ）、監督にとっては、さぞかしやり辛かったと思います。思い出せば思い出すほど、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

「おまえ、口から先に生まれたガキだな」

口答えしてばかりの僕に、監督はよくそう言ってました。監督、申し訳ありませんでした。

僕の無礼極まりない態度にも、監督をはじめ、皆様が辛抱して下さったのは、僕が子供だったために、目をつぶって下さったのだと思います。本当に申し訳ありませんでした。

前述のとおり、僕はジャスピオン終了後、小笠原監督と一度もお会いしていません。小笠原監督、僕を覚えていてくれてるかな……。

もし僕を覚えていてくれたなら、是非一度、お酒をごいっしょしたかったな。小笠原監督、30代になった僕を見て何て言うかな。

「おまえには本当に手を焼いたよ」

そう言うかな。僕はまず、迷惑ばかりかけたのをお詫びしたいです。そして、小笠原監督に言いたい。

「監督と仕事するの、楽しかったですよ。あの怒鳴り声に、僕も大分燃えましたよ」

小笠原監督との仕事は楽しかったです。張り合いがあって。良い仕事さえすれば、文句は言わせん。そんな雰囲気。僕が子供だったせいかもしれませんが、あの人の怒号、僕は好きでした。またあの怒号を聞きながら、仕事したかったですね……。

小笠原監督、張り合いがあって、楽しい現場を、どうもありがとうございました。

ご冥福をお祈り致します。

合掌。


※注：この箇所に、小笠原監督と、とある役者さんとのエピソードを書いておりましたが、後にその役者さんの出演回を調べたところ、その回は小西通雄監督が担当した回でした。つまり、僕が書いていたエピソードは記憶違いでしたので、そのエピソード部分は削除させて頂きました。誤りを書いてしまった事、謹んで、深く、心よりお詫び致します。申し訳ございませんでした。
（2014年9月10日追記）