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内山まもる先生追悼「リトル巨人くん」、「どんがら先生」、そして「はらっぱ同盟」

CATEGORYマンガ
先日知ったのですが、漫画家の内山まもる先生が12月1日にご逝去されたそうです。

内山まもる先生と言えば、「ザ・ウルトラマン」、そして「リトル巨人くん」が代表作ですね。コロコロコミックにおける、「リトル巨人くん」の最終回と、「あまいぞ!男吾」の連載開始は、同じ号でしたな……86年3月号。「リトル巨人くん」が、生まれて初めて接した野球マンガと言う、昭和後期の男の子は、僕だけじゃないと思います。

でもね、僕は言いたいのです。

内山まもる先生は、その二作以外にも傑作を生み出していたんだよ!と。

僕は内山先生の熱烈なファンと言うわけでもないので、先生の作品をいくつも読破したわけではありません。

それでも、僕は言いたいのです。

「リトル巨人くん」の連載終了後、次年度(86年度)から連載された、「どんがら先生」、面白かったですね。

主人公のどんがら先生は、小学校の教師でありながら、学校でキャンプをやったり、算数の勉強と言いながら、ファミコンのディスクシステム(時代を感じますね)で生徒に遊ばせたりするユニークな先生。どんがら先生のニックネームは、故郷の郷土料理、"どんがら汁"が好物あった事から付いたのだ。そして、そのどんがら先生の実態は、謎の覆面プロ野球選手、「ミスターX」!所属チームは巨人がモデルであり、背番号は、当時巨人に存在しなかった0番であった。
ミスターXは代打で登場してはホームランを連発!しかし、どんがら先生の生徒たちは、ミスターXがどんがら先生とはつゆ知らず……という作品。

でも正直、あまり細かい点は覚えていません。最後の試合で、高熱をおして出場したのは覚えているんですが……。

その「どんがら先生」も好きだったのですが、何と言っても、同年度の「小学4年生」に連載されていた、「はらっぱ同盟」が傑作!

二作ともに単行本化はされてなく、収録されていた学年誌もすぐ捨ててしまったため、僕はもう、25年読んでいません。

それでも「はらっぱ同盟」は、僕の心を捉えて離さない。

「はらっぱ同盟」の主人公は、スポーツ万能で、ケンカが強い、でも勉強は苦手な、典型的な少年漫画のガキ大将、"ガッチン"こと大河。

そして、そのガッチンに次いでケンカとスポーツが得意な、長めのおかっぱ頭の男の子。食いしん坊で料理が得意な、太っている男の子。男勝りなオテンバで、動物好きの女の子。しずかちゃんのような、マドンナタイプな女の子。あともう一人、男の子がいたかな?(秀才タイプ?)、小学4年生6人組が織り成す物語。

登場人物の名前を、もうほとんど覚えていないのが、悔やまれてならない……。

物語は、ガッチンたちのグループが、一学年上のガキ大将、島津たちに、唯一の遊び場である公園から追い出された事から始まる……。

追い出されたガッチンたちは途方にくれるが、道をぶらついている最中、広大な"はらっぱ"を見つける。

そのはらっぱで遊べないかなと考えるガッチンたちだが、そのはらっぱには、「立ち入り禁止」の看板。

地主のおじいさんも、入ってはだめだと、ガッチンたちを追い払う。

ケチなおじいさんだと、ガッチンたちはそのおじいさんに、"ケチベエ"のあだ名を付ける……。

しかしケチベエさん、一つの条件付で、ガッチンたちのグループに、はらっぱの立ち入りを許可する。

その条件とは、「君たちが遊ぶ時に、たまにワシもまぜてくれる事」。

ガッチンたちは快く了承。ガッチンたちに、新しい遊び場が出来たのだ……。

「いいなあ、草の匂い!」
「土の香りも、素敵っ!」

はらっぱに寝そべり、喜びを表すガッチンたち。

そして、そのはらっぱに自分たちだけの"かくれ家"を作る事を決める。

材木を拾って来て、"かくれ家"、つまり掘っ立て小屋を作るガッチンたち。「面白いことをやっとるな」と、ケチベエさんもやって来る。

しかし、その作成途中の"かくれ家"、どうも柱がグラついて、安定性が良くない。そこでケチベエさん、柱と柱の間に、斜めに材木を渡すと良いぞと提案する。老人の知恵に、感心するガッチンたち。

「よし、ワシも手伝おう。まぜてくれるかな?」

かくれ家作りに参加しようとするケチベエさん、ガッチンたちは目を合わせてニコッと笑う。

「もちろんだよ。約束したじゃないか」

ケチベエさんも助っ人に加わり、やがて、"かくれ家"が完成。

その後、ガッチンの住む町に、台風がやって来るニュースが入る。台風が来るのを、一つのイヴェントのように楽しみしているガッチン。なぜ台風が楽しみなのか、不思議に思う、ガッチンの母親。

「男の子ってのは、何となく台風が来るのが楽しみなもんだ」

そう言って、ガッチンの気持ちに理解を示す、ガッチンの父親。

「お父さんも、子供の時はそうだった?」
「もちろん」

しかし、ハッと気付くガッチン。台風が来たら、"かくれ家"も潰れてしまう!と。

家を飛び出し、吹きすさぶ台風の中、"はらっぱ"に向かうガッチン。そして、"かくれ家"が倒れぬよう、支えるガッチン。そうしているうちに、やがて駆け付けてくる仲間たち。

何しろ携帯電話がない時代。すぐに連絡を取り合って、誰かに来てもらうとか出来なかった頃。仲間たちは全員、自分の意志だけで、"かくれ家"を守るためにやって来たんですな。

そして全員で支え合い、"かくれ家"は、台風から守られたのであった……。

その"はらっぱ"で遊ぶたちガッチンたちを妬む、上級生グループの島津たち。「野球で勝った方が、"はらっぱ"を使うことにしよう」と言ってくる。

そして野球の試合当日、島津は審判として、中学生の兄を連れてくる。

「大河ってのはおまえか。いい度胸だな」

かくして試合が始まるが、その兄がインチキ審判。投手・ガッチンの投げるボールは、ど真ん中しかストライクをとらず、逆にガッチンチームの攻撃は、見送ったら全部ストライクにされる。

「くそっ、打てばいいんだろ、打てば!」

ガッチンは無理矢理打つが、劣勢ははね返せない。

しかし、そこを偶然通りかかったお巡りさん、ガッチンたちの試合を見物し始める。お巡りさんが見ている前なので、島津の兄もインチキ判定ができなくなり、やっと対等の条件での試合となる。

やがて島津の兄は、「塾があるから」と試合から去って行き、代わってお巡りさんが審判を務める。

試合結果は覚えてないのですが、その後もはらっぱは、ガッチンたちが使っていたので、ガッチンチームが負けたと言う事はないと思います……。

学校の運動会では、ガッチンたち小学4年生と、小学5年生との騎馬戦。ガッチンたち4年生は、騎馬を二手に分けて5年生チームを挟み撃ち。大勝利を収める。

ケチベエさんの息子は、"はらっぱ"にビルを建てようとする。しかし、ケチベエさんは反対。"はらっぱ"が立ち入り禁止となっていたのは、そのビル建設計画のためだったのだ。

"はらっぱ"で遊ぶガッチンたちが邪魔だと、ケチベエさんの息子は追い出しにかかる。

ガッチンたちが"はらっぱ"で遊んでいる中、突如やってる来るバイクを駆る若者集団。ケチベエさんの息子の差し金だ。

"はらっぱ"をバイクで暴走し、ガッチンたちを追い払おうとするバイク集団。皆で作った"かくれ家"も、そのバイク集団に潰されてしまう。ガッチンたちを助けにやって来た島津たちも、ガッチンともどもやられてしまう。

やがてバイク集団が去り、皆打ちひしがれる中、ガッチンが吠える。

「島津、同盟組もうぜ!はらっぱ同盟だ!」

"はらっぱ"を守るため、ガッチンたちのグループと、島津たちのグループで、"はらっぱ同盟"を結成。

"はらっぱ同盟"は再びやって来るであろう、バイク集団を撃退するため、新たな"かくれ家"を作る……。

新しい"かくれ家"は、"はらっぱ"にある、巨木の上に作られた。

やがて来襲するバイク集団。しかし、"はらっぱ同盟"は巨木の上から言う利点を活かし、バイク集団を攻撃。バイク集団に圧勝する。そしてバイク集団も、"はらっぱ"で遊んだ子供の頃を思い出し、ガッチンたちと和解するのであった……。

そして最終回。いつもの仲間たち、一人一人に、"自分が思う、自分の良い所"を聞き回るガッチン。突然、自分で自分の良い所を言わなくてはならなくなり、困惑する仲間たちだが、「自分の良い所は……、○○かなあ」みたいな感じで、何とか答える。

そんなガッチンの行動を不思議に思う仲間たち。これは何かあると思って調べていくと、なんとガッチンが転校してしまう。

引越しのトラックに乗るガッチンを、仲間たちと島津が追いかけ、お別れの言葉を投げかけあってのラストでした。

25年読んでない作品を、記憶を頼りに書いたので、違っている部分もあるかと思います。でも、大まかなストーリーは、こんな感じだったはずです。

「どんがら先生」に「はらっぱ同盟」、ともに単行本化はされず、しかも学年誌と言う、人目につきづらい雑誌での連載(紐綴じ雑誌なので立ち読みできない)。正直、かなりマイナーな作品です。内山まもる先生のウィキペディアを見ても、この二作、作品リストにありません。

でもね、そんなマイナーながらも、素っ晴らしい作品を、内山先生は描いていたんです!

内山まもる先生、感動をどうもありがとうございました。ご冥福をお祈り致します。
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COMMENTS

10Comments

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カッタウェイ

内山先生のご冥福をお祈りします。

内山まもる先生がご逝去されたのですか。小学生時代、コロコロの別冊に掲載された「ザ・ウルトラマン」は何百回読んだか分かりません。リトル巨人くんも懐かしいですが、私にとっては第3次怪獣ブームの象徴のような作品でした。

「どんがら先生」と「はらっぱ同盟」は私は存じませんが、これだけ山下さんの心に残っていて、あの内山先生の作品なのですから、きっと素晴らしい内容だったのだろうと推察します。内山先生のご冥福をお祈りします。

山下大輔

>カッタウェイさん
カッタウェイさんも内山先生に思い入れがあったのですね!僕は残念な事に「ザ・ウルトラマン」は読んだ事がない世代でして、子供の頃、単行本を探した事もあったのですが、何しろ発行部数の少ないコロコロコミック、結局、見つけられませんでした……。

内山先生の作品が人目につきにくいのは残念な限りですが、それでも当時の子供たちに確かな印象を残した、素晴らしい漫画家さんでしたよね。62歳のお若いご逝去、惜しまれます。合掌です。

昭和51年生まれ女

ありがとー!

はらっぱ同盟大好きです!懐かしい~

  • 2012/04/25 (Wed) 05:06
  • REPLY

山下大輔

>昭和51年生まれ女さん
昭和51年生まれ!「はらっぱ同盟」直撃世代ですね~。僕は昭和52年生なのですが、1学年上の学年誌も読んでいました(笑)。
僕も「はらっぱ同盟」大好きです!もっと多くの人に知られて欲しい作品ですー!

にっし~

記憶力すごすぎますね

ふとこの作品を思い出して、
ふいに「はらっぱ同盟」でググってみたら、
こちらに行き着きました。

私も はらっぱ同盟リアルタイムで読んでました。
最初は、あまりおもしろくなくて全然期待してなかったんですが、
だんだんおもしろくなってきて、
いつしか毎月毎月楽しみにしていた記憶があります。

それで12月号だったか1月号で
ようやくこの漫画のタイトルが、なぜ「はらっぱ同盟」なのかがわかったときに
なんとも言えない恍惚感に見舞われました。

それにしても単行本化すらされてなくて
リリースから四半世紀も経つこの作品のあらすじや
登場人物の名前をここまで詳細に記憶してるのはすごいです。

私は登場人物の名前は誰一人として
覚えていませんでした(笑)

ただストーリーは断片的に覚えてる部分はあります。

確か、バイク集団を撃退する際に使った武器の1つに
腐らせた卵をがあった記憶があります。

走行中のライダーの顔に腐った卵を投げてた気がします。

あと最終回、お別れ言葉で仲間のひとりがガッチンに
「むこうの学校に行っても、はらっぱ同盟作れよ」って
声を掛けてたのを覚えています。

子どもながらに記憶に残る作品で
間違いなく名作ですね。

ありがとうございました。

山下大輔

本当に名作!

お褒めのお言葉、ありがとうございます!何しろ面白かったので、25年経っても記憶に焼きついております(笑)。そして、「はらっぱ同盟」がお好きな方がいらっしゃって嬉しいです!

僕も、ガッチンが吠え、タイトルの意味が分かったシーンはしびれました。あれは印象に残りますよね。「むこうの学校に行っても、はらっぱ同盟作れよ」のセリフは覚えていなかったのですが、ラストを締めくくる、良いセリフですよね。

知名度はなくとも、本当に名作でした。「どんがら先生」とともに、復刻して欲しいですー!

なつかC~!

No title

初めまして。38歳の男です。
先日、妻がパンの耳を油で揚げて砂糖をまぶしたものを子供達に作ってあげたのを見て、原っぱ同盟の太ってる男の子が食べてるシーンを思い出し、こちらのブログにたどり着きました。
自分もまだ子供でしたが、この作品で熱いものがこみ上げてきたのを思い出します。いまの年になって、もう一度読みたい作品ですね!

  • 2015/04/29 (Wed) 14:39
  • REPLY

山下大輔

ありましたねー!

ありましたね〜!パンの耳を油で揚げて砂糖をまぶしたお菓子!あれ、とても美味しそうに見えました(笑)。最終回では、確かガッチンが太った男の子に料理について教わっていたように思います。
この名作、本当にもう一度読みたいです!

サトシ@S52.2.28生まれ

三角ベースじゃなきゃホームランなのによ

子供のころに見たあの漫画をさがして、やっとここにたどり着きました。ネットって素晴らしい(´∀`)

「はらっぱ同盟」熱い漫画でしたね。

クソ大河ァ!(言ってみただけ)

僕も触発されて、近所の空き地に"かくれ家"を作っちゃいました。速攻で撤去されちゃいました(>д<)

最終回、大河の引っ越しトラックを追いかけて仲間たちが次々に別れを言うシーン、激アツヽ(`Д´)ノウワァァァン

「わたし、自転車乗れるようになったよ!」
おまえ、フラフラやんけ(´Д⊂


感動をありがとうございました。合掌。

山下大輔

台詞が!(笑)

サトシ@S52.2.28生まれさん、熱くて感動の名作でしたよね~。
"かくれ家"を作りたくなるお気持ち、本当によく分かります(笑)。
頂いたコメントにて、僕が覚えていない作中の台詞が書かれていて?嬉しいです♪
野球対決ではなくて、三角ベース対決でしたでしょうか。
復刊して欲しいですよねー!