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オブラート作りの名人

オブラート作りの名人に会いました。

名人のお店は、埼玉県の目立たない町の、目立たない商店街の一角にあります。何十年も変わってないであろう、木造平屋で、一見、駄菓子屋さんのようにしか見えません。と言いますか、僕は駄菓子が買いたくて入ったお店で、実際に駄菓子も売っているのですが、その店主さんが、なんと偶然にもオブラート作りの名人だったのです。店内で手際よく、オブラートを作っておりました。

名人の作るオブラートは限りなく薄くも、ほんのりと甘さがあって絶品。

もちろん機械など使わず、材料をこねる時点から全て手作り。しかし、オブラートを伸ばす技術が、機械と同等に均一なのに驚きました。

オブラートで包む技術も秀逸。

僕の目の前で、オブラートで一口サイズのガムを包むところを見せて下さったのですが、一瞬で包み込み、そうかと思えば、次に出てきたのは、宅配用ダンボール箱ぐらいの大きさのある、業務用のガム。

そのガムも、先ほどの一口サイズのガムと同様、一瞬で包み込んでしまうんです。オブラートに皺が入っている様子もなく、ガムにピタリと沿われていました。名人芸と言う言葉がふさわしい、素晴らしい職人仕事でした。

名人は60歳ほどのご年齢でしたでしょうか、埼玉県在住ながら、いかにも江戸っ子と言った、明るく気風の良い性格。せっせと、そしてリズミカルにオブラートを扱う姿に、僕はすっかり魅せられてしまいました。

そんな名人ではありますが、結局、オブラートはオブラート。オブラート一枚あたりの代金を聞いたところ、価格はなんと10円。儲からない職業のせいでしょうか、後継者がいる様子もなく、お店は、その名人一人でやっておりました。

これほど、オブラート使いの上手い職人が、世界にどれほどいるのでしょうか。オブラート名人、いつまでもご健在でいて欲しいものです……。

今日は、そんな夢を見ました。目が覚めた時、真面目にがっかりしましたよ。
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