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サッカー女子日本代表W杯制覇

サッカー女子日本代表、なでしこジャパンがW杯制覇!

皆様と同様、僕もむちゃくちゃ感動しました。

もっとも僕、この女子W杯、決勝戦と、準決勝の後半残り10分しか観ていませんでした。

にわかファンの典型で、すいません。

でも本当に驚きましたし、北京五輪でも見せた、なでしこジャパンの恐るべき精神力に、心揺さぶられました。

決勝戦が始まるや否や、アメリカ代表チームの攻撃に圧倒されるなでしこジャパン。

スピード、パワー、そして体格、どれも明らかにアメリカ代表の方が上。

「ア、アメリカ強いとは聞いてたけど、こんなに強いの?」

99年ワールドユース(男子)決勝戦が頭をよぎりました。

決勝戦とは言え、ボールを少し交わしただけで分かる、歴然とした実力差。

こんな強大な敵に勝てるわけない。優勝なんておこがましいよ。

しかし、そんな思いは瞬時に消え去りました。

99年ワールドユース決勝と違い、この女子W杯決勝戦、日本代表が気圧されている雰囲気がまったくないんです。

強大なアメリカ代表相手にひるむ事なく、真正面からがっぷり四つに組む、なでしこジャパン。

「アメリカを恐れていない!本当に優勝を見ている!」

考えてみれば、99年ワールドユース日本代表は、準決勝を突破した時点でトゥルシエ監督をはじめ、メンバー全員が歓喜に包まれて、熱い抱擁。チーム全体に大仕事を果たした感が漂っていました。

さらに、そのワールドユース決勝の相手は、優勝大本命のスペイン代表。一方で、日本代表はエースの小野が不在で、最初から敗戦の雰囲気が漂っていました。また、あのワールドユースの決勝進出って、対戦相手にも恵まれていたんですよね……。

しかし、なでしこジャパンはまるで違いました。強豪を次々と屠っての決勝進出で、そして澤主将をはじめ、多くのメンバーが優勝宣言をしての戦い。

にわか野郎の僕でも、期待で胸が熱くなりました。

後半にアメリカ代表のモーガン選手が先制点。アメリカらしい、パワフルでスピードあふれるゴール。日本人選手にはない、根本から異なる、その身体能力。

アメリカ強いな、やっぱり勝てないのかな。

そうは思いましたが、「でも、なでしこジャパンなら、同点にできるのかも」と思ったのも事実です。

北京五輪のニュージーランド戦にて、2点リードされながら、残り34分で追い付いた、その驚異的な粘りを知っているからです。

そして、やはり追いつくなでしこジャパン。

追いつけるかもと思いつつも、本当に追いついてしまうと、やはり驚嘆してしまいます。強い、強すぎます。

宮間選手、あの体勢から左足アウトサイドで叩き込むシュート、凄かったですね。

と言うか、宮間選手、試合を通じて、あの正確で安定感あるキック、めちゃくちゃ上手かったですね。冷静沈着な仕事師です。

やがて延長戦、アメリカ代表のワンバック選手が勝ち越しゴール。そのどうしようもない体格差からのヘディングシュート、なでしこジャパンのCB、最長身の熊谷選手ですら10cmも差、もう一人のCB、岩清水選手とは20cmも差がある。

やっぱり強いな。土壇場では地力の差が出ちゃうよな。

そう思いましたが、なでしこジャパンの戦意が衰える様子はまるでなし。アメリカ代表相手に、ひるまず攻撃を続ける、なでしこジャパン。サッカー男子日本代表とは全然違う。

もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら……………もしかしたら、追いつけるのかも?

なでしこジャパンは強いがゆえに、希望の光が、わずかながらも消えない僕。

でもどうやって、同点にする?どうやって点を獲る?アメリカ代表は本当に強い……。

そう思いながら観ていると、やって来るCK。

セットプレイかあ……本当なら得点チャンスだけど、アメリカ代表相手に、セットプレイで勝てるのか?体格差で押し込まれて終わりじゃないか?ほら、ゴール前に選手が集うと、日本選手がいかに小さいかよく分かる。勝てっこない、CKじゃ点獲れないよ……。

しかしその瞬間、一閃する澤選手の右足!

「信じられない!!!」

真夜中に思わず声を上げましたよ、澤選手のミラクルシュート!

嘘みたいな同点ゴール、いくら強いと言っても想像をはるかに超える。なでしこジャパンって、こんなにも強いのか!

しかも、決めたのが澤穂希選手。サッカー女子日本代表史のビッグワン、10年以上エースとして君臨し続け、誰よりも背番号10番が似合う大英雄。今大会をサッカー人生の集大成として臨み、それを有言実行してしまう、恐るべき実力と、恐るべき強さ。これぞ千両役者、まさにスーパー・スター。

なでしこジャパンの強さ、全てが集約されたゴールに思えました。

澤選手は北京五輪でもボランチで、攻撃時にボールがこぼれると、その場所に必ずいる、ポジショニングの良さと高い戦術眼に目を見張りました。ボランチと言うポジション上、澤選手はあまりPAに入ろうとしませんでしたが、いざ勝負どころになると一気に突入してゴール、北京五輪でもチーム最多の3得点。

その得点力が……、このW杯でも爆発。

試合終了間際、小柄な岩清水選手が、モーガン選手相手に体を投げ出して止めたのも感動しました。レッドカードは厳しい気もしましたが、審判が、イエローカードと間違えて出してしまったような話も聞きますね。

そして、訪れる栄光の瞬間。最高の時をありがとうです、なでしこジャパン!!!

個人的には、優勝決定時、チームで号泣している選手がなく、満面の笑顔ばかりだったのが印象的です。優勝できる自信があって、かつのびのびやっていたからだろうな。そりゃ強いわけですよ。

小さい日本人女性が、大柄な欧米女性を圧倒する、昔の"東洋の魔女"フィーヴァーって、こう言うものだったのかな?と思いました。

あと、なでしこジャパンはフェアプレイ賞を獲得しているのも素晴らしいと思うんですよね。クリーンファイトで世界を制したなでしこジャパン、まさに大和撫子ですよ。北京五輪でも、原選手が敵チームを思いやる、素敵なシーンがありましたしね。

そして、優勝、MVP、得点王、ベストイレブン、フェアプレイ賞の五冠を成し遂げた澤選手。決勝を宿願のアメリカ相手に勝利し、集大成をこれほどまでに最高の集大成として迎えられたサッカー選手が、他にいたでしょうか。

「集大成」だけを見るなら、70年W杯のペレの上を行く集大成。

去年、岩渕選手は「サッカーで世界を制する初のアジア選手になるかもしれない」とWeblogで書きましたが、澤穂希選手が達成しましたね。正直、北京五輪が澤選手のピークだと思っていたもんなあ……。

実のところ僕、今大会は岩渕真奈選手が、いよいよ本格的に世界に飛び出す大会になるのでは?と思っていたのですが(つまりフル代表での大活躍)、実際はそうはいきませんでした。

決勝戦終了間際のピンチは、岩渕選手のパスがカットされたのがきっかけでしたし……。

でも、最後のFK、近賀選手とともに、岩渕選手が小さい体を投げ出して止めに行きましたね。やはり責任を感じていたのでしょうか、目立たなくも良いプレイでした。

大会終了後、なでしこジャパンの皆様は、色んなテレビ番組、イヴェントに出席しておりますが、出番の少なかった岩渕選手は、あまり呼ばれてないようです。不完全燃焼だった今大会は、きっと今後の糧になるでしょう。実際、表彰式の際、満面の笑みのなでしこジャパンの中、岩渕選手だけ、目が笑ってないように見えました。偉大な先輩たちの背中を見た岩渕選手の将来、とても楽しみです。

選手としてのタイプは違いますが、澤選手がペレなら、宮間選手がリベリーノ、そして岩渕選手がジーコと言った具合に、世代交代していくのかなー?と、勝手に想像しております(笑)。

おめでとう、なでしこジャパン!そして、本当にありがとう!!!


なお、大会終了後、澤選手をはじめ、目立った活躍を見せた宮間選手、海堀選手、川澄選手、岩清水選手、丸山選手のメディアの登場が多いのは当然ですが、個人的には、澤選手に次いで長い代表歴のある、山郷選手、安藤選手にも、もっとスポットを当てて欲しいなと思います。ここまでの道のりがいかに長く苦しく険しく、先輩たちが築いてくれた礎と重みを、よく知っているはずですから。

なでしこジャパンの帰国記者会見、山郷選手のコメント。

「大先輩の方々が、こうやって築き上げてくれた結果が、この優勝と言う場所に、私たちを連れて来てもらったと思っています」

そして安藤選手もやはり、先輩の功績を最初にコメントし、さらに今大会で一番好きなシーンについては、こう述べておりました。

「ドイツ戦の後に、山郷さん(控え選手)が凄いジャンプをしながら大喜びで、ノリさん(佐々木監督)にハイタッチするシーン」

また安藤選手は別のインタヴューで、「99年W杯では、空港で迎えてくれる人が一人もいなかった」とも、話しておりました。

それから一体どんなドラマを経て、この栄光に辿り着いたのでしょうか……。
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