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呂布奉先と岡田以蔵

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覇王の剣

4月26日、ブックオフ秋葉原店に立ち寄った際、塀内夏子先生の「覇王の剣」が1冊あたり100円で全巻売られておりましたので、迷わず購入して来ました。

僕は塀内夏子先生の作品が好きなのです。特に「オフサイド」は、これまで数え切れないほど読み返しました。

この「覇王の剣」、わずか4巻で打ち切り終了となりましたが、僕としては、もっと読みたかったですね。
もし続いていたら、関羽と張飛が幼き日に見た景色に、何を思い、何を感じ、それが果たしてどう影響していったのか、塀内先生ならではの繊細な心理描写で見せてくれたのだろうと思います。

「もう将軍は逃げちまってるよ!全員見殺しにされてるんだよ!おまえもだ!」

「ばかやろうが・・・・腰抜けでうすらとんまで 小汚いド卑怯者の将軍(おとな)どもが!!」

それにしても、「覇王の剣」に登場する劉備、関羽、張飛は、「オフサイド」の川崎高校トリオと、顔や性格設定が似ています(笑)。

優等生の熊谷五郎劉備
機転が利く佐藤真悟関羽
やんちゃな薬丸英樹張飛

僕がこの「覇王の剣」で一番好きだったのが、塀内先生の描く、呂布像です。

矢も戟も受けても平気な、塀内先生版呂布は、その超人的な強さをよく表しているなあ~と思います。

そして何より、その呂布の性格。

裏切りを繰り返し、一般的に悪党として扱われる今日の呂布ですが、実際の呂布は塀内先生が描くように、もっと素朴で、不器用で、あまりに強すぎる自分をどうしたらいいのか、ただ分からなかっただけなんじゃないかな……と、「覇王の剣」を読んでいて、そう思います。

・・・・ふしぎな顔だった
怒っているのか
困っているのか
苦しいのか
・・・・・・悲しいのか(?)わからなかった


そして、塀内先生の描く呂布は、本当にそんな顔をしています。怒っているのか、困っているのか、苦しいのか、悲しいのか分からない、そんな表情を描きあげてしまう塀内先生は、改めて凄いなと感じます。

あまりに強すぎる自分がどう生きるべきか分からず、強さの価値が分かる人間に利用されるがままで、利用されている自分に気付かず、翻弄されるがままの人生だったのは、呂布奉先と岡田以蔵の共通項な気がします。

もっとも僕、「三国志」についても、幕末についても、それほど詳しいわけではないで、浅薄な知識で判断しただけですが(笑)。
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