井上源太郎さんと小泉純一郎元首相

源さんの言葉に、耳を疑う僕。こ、小泉首相？？？

「もうすぐ、小泉首相が来るよ。小泉首相、見てみたい？」

えっ？小泉首相が来るって何それ？源さんの顧客には政治家も多くいると聞いたが、えっ？首相まで来るの？？？

「は、はい……」

見れるのなら見てみたいので、そう答える僕。

「それならさ、店のドアの前に立ってなよ。オレは今日、忙しくて（首相の）靴磨けないからさ。そこに立っていれば、もうすぐ来るから、見れるはずだよ」

ええ？今から来るの……？

「さっきのはSPでさ、今から店に来ても大丈夫か、確認に来たんだよ」

首相の行き先は、SPが先回りするのか……。

VIPの生活に、少し触れた気がする僕。

僕は源さんの言うとおりに、お店のドアの前に立ちました。今から、小泉首相が来る？？？

すると……。

ダダッ！

スーツ姿の男性が３名駆けて来ました。何事！？

そして、その３名は機敏な動きで、通路脇を固めました。それから間もなく！

「どうも！こんにちは！」

ほ、本当に来た！小泉純一郎首相！！！

３名の男性はSPさん。その後ろから、小泉首相が現れたのです！その親しげな挨拶に、首相が常連客である事がすぐに分かりました。

そして首相は、源さんの（キャピトル東急当時の）お店の向かいにある、床屋さんに入っていったのです……。

よく見ると、SPさんは先ほどの３名以外に、遠巻きにさらに４名ほどいました（記憶曖昧ですが）。そして、その"遠巻き組"は、何やら無線？かトランシーバー？で連絡を取り合っており、何だか重々しい雰囲気。自ずと、僕にも緊張が走ります……。

つまりこの時、SPさんは首相の近くにいる僕にも注意を払っていたわけで、僕が怪しい行動を取っていたら、否応なしにとっ捕まっていたわけです。

首相の前ではどんな行動まで許されるのか、体を張って確かめた～い！

思わず僕が、電波少年になったのも無理はありません。

でも……この時僕は、勇気がなくて、何もできなかったのです。せっかく現役首相が目の前にいるのに、何もできなかった僕、今となっては非常に後悔しております。せめて一言、声をかけてみたかったですね。

今では僕も33歳となり、24歳だった当時よりは度胸がつきましたし、首相の前でも、それほど緊張しないと思います。もしまた、現役首相のプラヴェートの場に居合わせる事ができたら、是非とも！不審な行動を取ってみたいですね。果たして僕は、一体どんな目に合うのでしょう？

今日も僕はこれから、寝る前の不審な行動の練習です。「香港カンフードラゴン少林寺」のVTRを観て、その動きを体得するのです。この動きは相当不審だぞお～。