デンツのペッカリー・グローヴ……手縫いと機械縫い

普段から貧乏している僕ですが、やはり£安の恩恵は受けたいと思いまして(笑)、かねてより欲しかった、デンツのペッカリー・グローヴを海外通販しました。色はご覧のとおりのコルク・カラー。フィット感を重視して、ライニングなしのモデルを選びました。

ライニングがないせいで分かったのですが、手袋裏にはプリントがされているんですね。「7/2」はサイズ表記ですが、「6337」とは何でしょうか?ロットナンバー?
いずれこのプリントも、着用を続けているうちに消えてしまうのでしょう(笑)。
注文したのは少々前の1月25日で、届いたのは2月9日。価格は135£、送料15£、合計150£でした。1£が約130円の時期でしたので、約19,500円で済みました。日本定価は45,150円みたいなので、本当にお買い得です。
実は僕、このペッカリー素材って風合いが野暮ったすぎて、昔はいまいち好きになれなかったのです。でも5年ほど前、知人がこのペッカリー・グローヴを実際に着用しているのを見て、単独で見るよりもずっとカッコ良く、いつか欲しい!と思ったのですね。
この独特の皺模様と、山吹色が良いアクセントとなって、オシャレのポイントに使えるのが分かりました。その知人は黄土色のツイード・ジャケットと合わせておりましたが、本当によく映えておりました……。
ところで、デンツのペッカリー素材と言えば、昔はタバコ・カラーもありましたが、現在はデンツのサイトで見なくなっておりますね。廃盤になっちゃったのでしょうか?
手袋自体も、以前はもっと種類があったような気がします(気のせい?)。現在はチェコ製もあるようですし、デンツは何年か前から、体制が変わってしまったのでしょうか?

こちらはスーツに合わせる目的で買ったので、ドレッシーに色は黒、素材はシープスキン。このシープスキンはピッタード・レザー社の物らしいですね。ライニングはラムズ・ウール。縫製も、あえて機械縫いを選びました。ピッチが細かくて正確な分、手縫いよりもスッキリ見えて、スーツ向きかな?と思ったのですね。もっとも、ステッチなんて普通は気にならない部分だし、ストラップ付の手袋がどれだけドレッシーか、今では少々疑問だったりもするのですが(笑)。
このモデルも、今では廃盤なのでしょうか、デンツのサイトには掲載されておりませんね。手縫いで同モデルはあるのですが。ショップ別注とかならあるのかな?

そしてこちら↓は手縫いステッチ。

これまで、僕が寒い時期に海外旅行に行く際には、必ずこの黒のデンツを持って行って、僕の手を風雪から守ってくれました。雨や雪を浴びて革が硬くなったらクリームを塗り、また使い込んではクリームを塗ってで、気付けばもう8年。今ではすっかり柔らかくなり、自分の物となりました。

ただ置いてるだけの状態ですが、黒の方が、親指が自然と開いているのがご確認頂けると思います。
個人個人の手の形状、動きの癖もあると思うので、ご所有されている方全員がこのように開くかは分かりませんが、僕の場合はこうなりました。新規購入したペッカリー・グローヴも、どんどん使っていって、いつかこのように、自然に開かせたいですね(笑)。
そして、このシープスキンとペッカリーのモデル、見比べてみると、他にも違いがある事に気付きます。


ペッカリー素材の場合、人差し指外側にステッチが入っておりますが(青矢印)、シープスキンは入っておりません。デンツのサイトで見比べてみても、ペッカリー素材だと、この箇所に必ずステッチが入るのですが、他の素材だとまちまちのようです。理由はなぜでしょう……?
ペッカリーはディア(鹿)やシープ(羊)よりも小さい動物のようなので、パーツを大きくカットしたら効率的に使えず、ここに継ぎ目を入れて縫製しているのかもしれません???
でも、ペッカリー以外の素材でも、この人差し指外側ステッチが入っている場合もありますし、うーん、分かりません……。
さらに、他にも縫製に違いがあります。手縫いと機械縫いの、一番の違いはここかもしれません。


まず機械縫いのシープスキンの場合、指の間に継ぎ目を入れて縫製しております。上2枚の画像、青の点線で囲った箇所、黄色矢印の箇所ですね。


そう、指の間にマチを挟み込んでいるんですね。よくデンツの紹介記事にも書かれる、"菱形"パーツです。ここにマチを入れることにより、指の運動領域を確保し、動かしやすくする狙いですね。
おそらく、この箇所に菱形パーツを縫い込むのは、手縫いでないと不可能なのではないでしょうか?この奥まった箇所を縫製するのは複雑そうで、ミシンだと無理な気がします。
もっとも、手縫いのモデルには、全てこの菱形パーツが付けられているのか、僕は全てをチェックしたわけではないので、分かりません。デンツのサイトを見ても、ここの箇所って見えないんですよね。
あと、ちょっと不思議なのは、シープスキンにはあった指の間にある継ぎ目が、ペッカリーの方には、なぜか薬指と小指の間にしかないんですよね。この画像の↓とおりです。

この↑青矢印で示したステッチ、人差し指と中指の間、中指と薬指の間には、このとおり↓、入っておりません。

どうしてこのような縫製なのか、やはり理由は分かりません(笑)。どなたかお詳しい方、教えてやって下さい。
ただ、パーツの継ぎ目が多いと野暮ったくは見えますが、それだけ立体的に作りやすいはずです。少なくとも他のモデルと比べて、このペッカリーのモデルは手間かけて作られているなーと思います。
実際に着用してみても、確かにペッカリーの方が密着感があります。しかし、この密着感は縫製よりもライニングなしのおかげな気もするので(笑)、手縫いの方が良い!とは、断言できません。これから使い込んでみて、さてどうなるか、判断したいところです。
と言いますか、結局は既製品ですから、ところどころにどうしても隙間ができるのは避けられないんですよね。完璧にはフィットしません。
つまり、デンツの広告や記事でよく書かれている、装着したまま「新聞がめくれる」、「切符が取り出せる」と言うのは、これは嘘です。

そんな細かい動きができるわけないじゃん!
かく言う僕も、初デンツ購入時は、上記謳い文句を頑なに信じちゃってさ…………。
「これはデンツなんだ。絶対にはめたまま、新聞がめくれるに決まってるんだ!」
とばかりに、装着したまま、無理矢理新聞をめくろうとしたり、小銭を取り出そうとしたもんでさ……ストレスがたまりまくったのは言うまでもありません。ふっ、若かったぜい。
謳い文句が嘘だと気付くのに、僕は約1ヶ月を要しました。
こちら↓のブラック・シープのニット・グローヴ(日本価格1,680円)の方が、作業しやすいのが現実だったりします(笑)。

そんなデンツですが(笑)、特に大きい不満も特にありませんし、装着していると、「良い手袋してるね」と言われるのもしばしばです。
もし次にレザー・グローヴを購入する事があれば、ビスポークしたいなー………と思いますが………さて、万年貧乏の僕にできるかな……………?
- 関連記事
-
-
Aubercy in Paris(パリのオーベルシー) 2016/07/29
-
Siniscalchi in Milano(ミラノのシニスカルキ) 2016/12/02
-
消え行く定番……ダン・リヴァー社のオックスフォード生地 2007/05/17
-
Amann in Berlin and ARNULF in Potsdam(ベルリンのアマンとポツダムのアルヌルフ) 2015/10/20
-
Stivaleria Mercurio in Roma(ローマのスティヴァレリア・メルクーリオ) 2017/05/08
-
4年前と7年前 2014/09/12
-