スーツを注文!キッドモヘアバラシャ!
夏に大学生時代の友人の結婚式がありまして、僕ももう30歳だし、そろそろ冠婚葬祭用のビスポーク・スーツを持っていてもいいかな~?と思ったためです。
生地はキッドモヘア混、バラシャ織の黒!まさに礼服用ですね。以前からストックしておいたのを、テイラーさんへ持ち込みました。

生地の質感はサラリとしていて、結構しなやかです。とは言え、グッと曲げると、そこはキッドモヘアならでは、硬質なハリを感じます。そして、キッドモヘアらしい、キラリとした光沢もバッチリです。画面越しでは伝わなくて残念ですが……。
一言でキッドモヘア混生地と言っても、ドーメルの(オールド)トニックの場合は、針金で編み上げたようなガサガサした感触ですし(3プライだから?)、生地を色々見ていくと本当に面白いです。


織りネームにミルやマーチャント名は入っていないのですが、字体から判断するにウィリアム・ハルステッド製かな?キッドモヘアが何%混紡かも書かれていないのですが、テイラーさんによると、「多分30~50%だろう」との事です。
目付は1mあたり386gと(自己測定)、キッドモヘア混にしてはかなり密ですね。今の夏には暑すぎたりして……(笑)。
キッドモヘア混の生地は、このバラシャ以外にもいくつか持っているのですが、この生地が一番目付があります。製造は80年代前半らしく、これほど目付があるキッドモヘア混も、昔ならではでしょうか。ご存知の方はご存知のとおり、同じキッドモヘアでも、昔のような糸はもうなくなっているらしいですね。
とは言え、目付は織りやキッドモヘアの混紡率にもよりますし、目付があればあるほど良いとも限らないので、あまりこだわりすぎてもいけませぬ……。
このバラシャ、いささか昔の生地なので痛みが心配だったのですが、テイラーさんに見て頂いたところ、「大丈夫」との事でした。ホッと一安心です(笑)。
さて、スーツの注文仕様は、以下のとおりです。
ジャケット:シングル一つボタンのノッチドラペル。ラペル幅は、「細すぎず、太すぎず……まあ中間で」と、曖昧な注文の仕方でした(笑)。ベントはノーベントと、これも礼服を意識しました。ポケットは玉ぶち仕上げ。胸ポケットはイタリアらしいバルカにはせず、英国風を意識しました。
ライニング:夏に着るため、総裏か背抜きか迷いましたが、やはり礼服ですし、テイラーさんから、「どちらでもあまり暑さに違いはない」とお話がありまして、総裏にしました。キュプラの黒です。
ウエストコート:襟なしで、ポケットは二つだけ。ボタン数は一般どおり6つで、一番下のボタンだけ外す仕様です。通常は背中に入る調節用ベルトも、なしでお願いしました。
ただ、僕が持ち込んだ生地だと尺が足らずに、ひょっとしたらウエストコートは作れないかもしれないそうです。
トラウザース:ブレーシズ仕様の2タック、裾はシングルです。
雰囲気としては、「英国調が好きです」と話しまして、肩も張らせ気味で、ウェストもグッと絞って下さいとお願いしました。
それ以外はお任せです。テイラーさんのセンスと腕に託すのみです(笑)。
礼服と言うよりは、正確には略礼装でしょうか。いつまでも着れるように、デザインとしてはとにかくプレーンに、極力スッキリ見えるように意識しました。
採寸では、一般どおりのメジャリングだけでなく、後姿と横姿の写真も撮ったりで、興味深かったですね。
完成は約2か月後!今からと~っても楽しみです!
※後から分かりましたが、この生地、70年代製造の可能性が高いようです。
(09年2月25日追記)
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