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高級靴・ブランド・ステータス

CATEGORY靴・服飾
こちら↓のBlogを読みまして、色々思うところがございました。
http://blogs.yahoo.co.jp/kawait_2000/53406453.html
【10万円の高級靴を買うことは結局得か?】

反論になってしまうので、書こうか迷いましたが……、やはり疑問を抱かずにはおられませんので、書きます。別に揉める気はないのですが……。

>つまり、高級靴は結局は安いのだ、というのは間違いなのである。高いものは高いのだ。

この点は、僕も同意できます。もっとも、オールソールに二万円以上もとる業者はほんの一部ですけどね。実際は10,000~15,000円あたりが相場。手法や素材によって前後はしますけれども。

>ブランド品は、「安いから」買うのではない。

この点も同意できます。しかし……

>「ステータス、高い感性」などという、物理価値ではない精神的な価値が高いから買うのである。

確かに、ステータス重視で買っている方もいらっしゃいます……。雑誌に掲載されたか否か、つまり有名か否かで、売れ行きが変わるのも事実のようですし。

ただ、非常に疑問なのは、高級靴について書いているのに、なぜ、履き心地の素晴らしさについて、ほとんど触れないのだろう?と言う事です。触れているのは、耐久性の事ばかりです。

高級靴において、安い靴との違いが顕著なのは履き心地です。

>ブランド品は、「安いから」買うのではない。「ステータス、高い感性」などという、物理価値ではない精神的な価値が高いから買うのである。
>こういう高級靴を買っている人も、間違いなく、ここに満足感を感じているのだ。

「間違いなく」は言い過ぎです。ステータスではなく、履き心地に満足感を得て、高級靴を買っている方も相当多いはずです。靴は歩くための道具です。ヘタをすれば、人の健康を左右する道具です。

>嘘だと思うなら、最近ヴィトンを買った人に、なぜ、ヴィトンのバッグを買ったのと聞いてみて欲しい。きっと、「丈夫で長持ちするから」というだろう。

言うかもしれませんね。しかし、その一方で、最近エドワード・グリーンを買った人に、なぜ、エドワード・グリーンを買ったのと聞いてみて下さい。

「丈夫で長持ちするから」とは言う人は、ほとんどいないと思います。きっと、「履き心地が良いから」と言うでしょう。

高価な靴の代表としてはビスポーク・シューズですが、ビスポークにしても、ステータスより、足を計測して作成される極上の履き心地、自分のイメージを形にする楽しさ、そしてビスポークならではの特級素材に魅力を感じている方がほとんどだと思います。

そもそも、高級靴ブランドなんて、ルイ・ヴィトンと比べたら全然知名度は低いですし、ステータスとしても効果は薄いと思うのですが……。ビスポーク・シュー・メイカーなんて、ほとんどが既製靴ブランドよりも知名度がないですよね。

そしてもう一つ。

>ステータスをお金で買うってすごくよいことだと思います。ブランドの本質かな、と思います。

僕は全然良い事とは思いません。まず、お金で買えるステータスなんて、全く無意味なステータスではないでしょうか。無意味な行為が、すごく良い事とは到底思えません。お金で買えないステータスこそ、本物のステータスでしょう。

ブランドの本質は、ブランドが、ブランドであるにふさわしい、上質の品物を提供する事ではないでしょうか。ブランドのステータスは、"上質の品を提供している"事実があって、その後から付いて来るべきものと思います。

もっとも、昨今は、高品質の提供よりも、ステータス提供の方に力を入れているブランドが多いのも事実ですけど……悲しい事です。
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COMMENTS

12Comments

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ペパーミント

高級靴は確かに高いですよね。ランニングコストも高級であればあるほどあがりますし。。。最もだからこそ甲斐性になるのかなと思う今日この頃です。
また私もオールデンやグリーンを買う人の大多数は履き心地で買っていると思いますね。特にオールデン(笑)
お金で買えないステータスこそ本物のステータス名言ですね。
そういうふうにみんなが思えば本当にいいと思います。
ただブランドのイメージについては難しいところです。高いから買うという人はいますしね。。。
悲しいことにみんなが製品に詳しい訳じゃないんですよね。いいものは売れないなあと思う今日この頃です。
おもしろい日記ありがとうございました。

  • 2008/02/05 (Tue) 23:34
  • REPLY

山下大輔

>ペパーミントさん
高級靴のランニングコスト、結構かかりますよね。オールソール料金で、安い靴が買えますから(笑)。
仰るとおり、高級靴をお持ちの方、ほとんどが履き心地に価値を見出していると思います。次がスタイリングと革質でしょうか。僕がオールデンを多く持っているのも、やはり履き心地が好きだからです(笑)。ステータスなんて考えた事もないですね……そもそも、オールデンを所有したところで、ステータスになんてまったくならないですから(笑)。
ブランドのイメージ、難しいですよね。高価だから、良いものなんだろうと、高値に安心感を覚えてしまう方も、確かにいらっしゃいますから。
ただ、高値である理由が、ブランドイメージ料だったりするわけです。つまり、広告費とか、ショップ運営費(豪華な内装、デザイン料)とか、あとハッタリ料の場合もあります(ぼったくりとも言える)。
例えば、最近、広告の多いC&Jは、グレンソンより品質は劣るのに、価格はグレンソンより高かったりします。でも、C&Jは人気のようです。
仰いますとおり、良い物だから売れるとは限りませんよね。
僕の友人でも、「このブランドって有名?教えて!有名なら買おうと思うんだけど」と露骨に聞いてきた人がいました。何とも悲しい実話です。

山男

はじめまして。
私も全てを否定する気はありませんが、全てに同調は出来なかったです。
マーケティングと言うわりに、何故か凄く視野の狭さを感じました。

靴に関しても、山下さんが仰る通り耐久性にしか焦点を当てていないですね。
実際には履き心地や革質、見た目などで購入している人が多いと思いますけどね。

スーツやシャツなんて、いい素材や縫製によって高額になってしまう物が多いと思いますが、
それはステータスでも何でも無く、あくまで着心地を追及している為ですし、
それを求めて高いお金を払っている人も多いと思います。

もちろん、ステータスを求めて買う人も多いのが現実だと思いますが、全ての日本人が同じでは無いと思います。

マーケティングと個人の好みを同じにするなと言う意見も書かれていますが、
マーケティングの事は分りませんが、個人の好みの積み上げが市場であり、それを分析するのがマーケティングだと思うのですが・・・。

このコメント、ここに書くべきかあちらに書くべきか迷いましたが、私も揉める気は全く無いのでこちらに書かせて頂きました。(笑)

山下大輔

>山男さん
はじめまして!山下大輔と申します。コメント、どうもありがとうございました。
僕も山男さんと同意見でして、かのBlogに書かれているマーケティング、かなり疑問に思っております。
ルイ・ヴィトンと高級靴ではまったく別物なのに、ルイ・ヴィトンのマーケティングを、高級靴に当てはめただけのような気がするんですよね……。
僕が思うに、エドワード・グリーンを知っている人なんて、100人中10人どころか、5人もいればいい方じゃないでしょうか(もしデータがあるなら是非知りたいです)。そういう知名度の靴を履いても、ステータスになるとは全然思えないんですよね。
それに、かのBlogでは、「webではほぼ例外なく、"高級靴は、耐久性を考えると結局得する"と書かれている」と書いておりますが、これも間違いだと、僕は思っています。
高級靴についてのwebで、ほぼ例外なく書かれているのは、やはり履き心地の良さや、見た目の美しさであって、「耐久性を考えれば得!」なんて述べているサイトなんて、半分あるかも怪しいです(1/3も怪しいかも)。これはマーケティングどころか、少しネットサーフしただけで分かりますよね……。
以上の事から、個人の好みではなく、マーケティングの観点からしても、履き心地や見た目の美しさに、消費者はお金を払っていると、僕も思うんですよね……。
そもそも、靴は履き心地が良くてナンボの品。ルイ・ヴィトンの鞄とはやっぱり違います。
オールソールに2万円以上とる業者もほんのわずかですし。この方、高級靴について、一体どんなマーケティングしたんだろう?という気にもなります。

余談なのですが、僕の意見を先方にも知って頂きたく、この記事をアップした際にトラックバックもしたのですが、どうも受け付けてもらえなかったようです。ちょっと悲しいですね。

ペパーミント

余談なのですが、僕の意見を先方にも知って頂きたく、この記事をアップした際にトラックバックもしたのですが、どうも受け付けてもらえなかったようです。ちょっと悲しいですね。

〉山下さんの誠実さがにじみ出てますね。私もこういったふうにネットと接することができるようがんばります。(最近、山下さんの靴掲示板への以前の書き込みをはずかしくて消したい気分なのです。。。。)
今後とも努力しますのでよろしくお願いします。

  • 2008/02/09 (Sat) 21:49
  • REPLY

山下大輔

>ペパーミントさん
そう仰って下さって嬉しいです♪どうもありがとうございます。
先方が実名で意見を述べているのですから、僕もトラックバックした上で意見を述べるのが正しいだろうと、生意気ながら思ったのです……。
僕も自分を見失わなわず、精進していきたいと思います。僕の方こそ、どうぞよろしくお願い致します。

ロブ

山下さん
自分も山下さんに同じ意見です!
靴は値段の高い物はより高いフィッティングを意識した作りの物が増えてくるものですよね。
耐久性だけで語られるのはより消費大国の国民らしい見方になってしまう気がします。

ばんぷ

はじめまして

>高級靴は10年も長持ちする。だから、長い目で見ても安いのだ。

これって、店員や雑誌から得る知識ですよね。
で、消費者は、のちのち意外と維持費が掛かることに気づくと。

ということで、日本からブランドは生まれないのは、
マーケティングに失敗していると言う、自虐ネタでしょうかwww

閑話休題

ヤフ―ブログは、コメント・トラバとも承認制機能がないはずですし、
恐らく、送受信に失敗しただけかと思いますよ。
もう一度されてみてダメでしたら、コメント欄にここのURLを書かれてみては?

山下大輔

>ロブさん
仰いますとおり、基本的に、価格の高い靴ほど、履き心地に技術と工夫が費やされていますよね(例外もありますが)。先方のBlog、高級靴についての記事なのに、履き心地についてほとんど述べられていないのが不思議でなりません。
先方は高級靴を減価償却的発想で買っているそうですが、むしろこちらの方が、個人の趣味のような気がするんですよね……(webを見る限り)。


>ばんぷさん
はじめまして!仰いますとおり、高級靴の耐久性って、実際は使ってみて、はじめて分かりますよね。一口に高級靴とは言っても、製法や素材によって、耐久性に差がありますし。
僕の知る限り、今、高級靴で売れ行き好調のブランドがベルルッティですが、そのベルルッティはマッケイ製法も多く、耐用年数については一歩劣る品ですよね(ソール素材は上質ですけど)。でも売れているのですから、やはり高級靴の消費者側が、それほど耐久性を気にしているとは思えないんですよね……。
トラックバック、もう一度送ってみたのですが、やはりダメでした……原因は分かりません~。コメントまでするのは揉める危険をはらんでいるので(笑)、とりあえず控えておきます。ご助言、ありがとうございました。

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  • 2008/02/21 (Thu) 00:19
  • REPLY

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  • 2008/02/21 (Thu) 00:27
  • REPLY

山下大輔

>非公開コメントさん
わざわざすいません~!記事が読めなくなったのは残念であります……。正直、先方は最後、主旨とは関係ない長文でごまかした感が強いです。真正面から反論できてないですし。僕としても、非公開コメントさんの予想にも同感です。

トラックバックはそういった事情があるんですね!教えて下さって、ありがとうございました。