小学5年生の時、父親と野球をやって遊んでもらっていたある日の事。
父がピッチャー、僕がバッター。その父が、大きく揺れて落ちる、とんでもない変化球を投げてきました。想像外、と言うか、常識外の変化に、僕はバットを振る事もできず、ただ呆然と見送るだけ……。
「なんだこの球!?友達と野球する時にこんな球を投げられたら、オレ、無敵じゃん!」
そう思った僕は、すぐさま父に、その変化球の投げ方を聞いてみました。しかし、父は教えてくれない。
そして父は、何度も何度も、そのとんでもない変化球を投げてきました。バットにかすりもせず、信じられない変化に驚愕、そして混乱する僕を見て、ニヤニヤ笑う父。猛烈に悔しい僕。
僕はその変化球の投げ方をしつこく聞いてみるものの、やはり教えてくれない。
それでも執拗に聞くうちにようやく教えてくれたのは、下画像にある、ナックルをさらに変則にしたような握り。

早速僕は、教えてくれた握りで投げてみるものの、何度やっても、父が投げたような変化をしない。なぜだ……。
「何度も練習すれば、投げられるようになる」
父はそう言うだけ。
結局、僕はあの異様な変化球は投げられないままであった。
今になって思い返せばよく分かる。
父は不正投球をしていた。具体的には、ボールに唾をつけて投げる
"スピットボール"。父は投げる前に少しだけ後ろを向いて、指を舐めるような仕草をしていたもんな……。父と野球をする時はゴムボールだったので、なおの事異様な変化をしていた。僕に示したボールの握りも、実は嘘であったろう。
先日、メジャーリーグにて、ヤンキースのマイケル・ピネダ投手が不正投球で退場処分となりましたが、
こう言うのは本当に止めて欲しいですね。フェアプレイで臨んでいる選手にとっては、とにかく納得できずに憤慨するばかりですから。僕なんて25年以上前の事なのに、今なおこうやって根に持っていますよ。