「オアー ナナちゃーん!!」
「なんだおまえ?」
「わたしはだな 高原ナナファンクラブ会員番号9999番のキン肉マンだ!」
「そんなことはきいてない 新聞のきりぬきなんかふるな!」
「あっ‥」
「えい!」
「あーっ わしの写真!」知っている人は知っている、「キン肉マン」第2話での1シーンです。
キン肉マンが、アイドルの高原ナナのコンサートに行き、たくさんのファンに混じって声援を送るんですが、他のファンはブロマイドや大きいパネルを振っている中、キン肉マンだけが新聞の切り抜きで、投げ捨てられてしまうんですね。
これ、言うまでもなくお笑いシーンなんですけど、これを読んだ小学1年生当時、全然僕は笑えなくてですね、むしろまったく逆。
「キン肉マン、地球に捨てられて一人ぼっちで、貧乏してるもんな。なけなしのお金でコンサート来て、貧乏だから新聞の切り抜きしか持って来れなかったんだな。その切り抜きすら、悪い奴に捨てられて、キン肉マン、本当にかわいそうだな」
そんな切ない思いに駆られました。それと同じ理由で、
「ほんでもって 公園からひきぬいてきた花を プレゼントするんだあ!」
このキン肉マンのセリフも、まったく笑えませんでした。やはり、かわいそうな気持ちでいっぱいでした。そして、
「僕はこんな、貧乏を馬鹿にするような人間にはならないぞ!」子供ながら、そう誓ったものです(もっとも、僕自身が昔も今も貧乏)。
悲劇と喜劇は紙一重と、よく言ったものです。
しかしですね、まずいのですよ。
最近、僕、
このシーンに少し笑えるようになってきているのです。
やばい!自分、悪い大人になって来ている!相当な危機感に襲われました。
元々、僕が善人なのかと言われればそうじゃないですし、善人自体が、定義できない曖昧なものです。
それでもやはり、悪にはなりたくないよなあ、と言う思いはあります。
自分の性格が悪くなってきている事をよく反省し、改善に努めたいと思います。
辛くて苦しい時も、いつも明るく、弱きを助け、強きをくじくキン肉マンから、僕は子供の頃、多くの事を教わりました。その教えを実践しないと、キン肉マンに合わす顔がありません。僕はこれまで、キン肉マンと会った事はないですし、今後も会う事はないと思いますけどね。
さて、今日、YouTubeを巡っていたら、たまたま、やまがたすみこさんと言うシンガーソングライターの、「風に吹かれて行こう」と言う曲を発見しました。
お恥ずかしながら、僕、やまがたすみこさんも「風に吹かれて行こう」も初めて知ったのですが、これ、かなり気に入ってしまいました。澄み切った歌声、清々しい曲調、いつの時代でも通じるであろう普遍性と切なさのある歌詞、素晴らしいです。世界名作劇場のエンディング・テーマに使われそうな曲です。
僕は高校生の時、70年代フォークが結構好きで、その当時のフォークはそれなりに聴いたつもりなのですが、まだまだ知らない名曲、たくさんあるのだなと感じました。
この曲を聴いていると、今よりは純粋だった、昔の自分の心を思い出せそうな感じです。
しばらくは、「風に吹かれて行こう」を中心に、やまがたすみこさんの曲を聴きまくろうと思います。「夏になったら」も良いですね。
この二曲は、湯川潮音さんの曲と通じる雰囲気が感じられるのですが、どうでしょうか?